9月17日は敬老の日だ。また、9月21日から9月30日は秋の全国交通安全運動週間だ。近年、高齢者による交通事故のニュースを聞く機会が増えた。その多くが操作ミスなど認知力の低下によるものが原因であることが多い。
これに関して、自転車の安全利用促進委員会は、敬老の日および秋の全国交通安全運動を前に、高齢者の自転車の利用と自動車の利用についての調査を実施した。
65~79歳の高齢者に対し「自動車と自転車を運転する頻度」を尋ねたところ、週1回以上の自動車と自転車の利用頻度は、「自動車」が58.0%、一方「自転車」は77.3%となった。高齢者においては自動車よりも自転車を利用する頻度が多いようだ。
自動車と自転車のどちらを移動手段として選ぶか、その理由について尋ねたところ、自転車を選択する場合の理由は「移動時間が短いから」が78.9%と最も多く、次いで「駐車場がない場所にも行きやすいから」が53.8%、「健康促進になるから」43.3%、「維持費が安いから」42.5%という項目が目立った。
逆に、自動車を利用する場合は「距離が遠いから」が66.2%、「荷物が多いから」55.3%、「複数名で移動ができるから」41.8%など自動車ならではのメリットから利用しているようである。
近年の認知能力を理由とする事故の多発によって警察や自治体による運転免許証の返納を推奨する取り組みが積極的に行われているが、これに関して、「運転免許証を持っているか」という質問をしたところ、「持っている」と回答した者の割合は91.7%でほとんどの者が運転免許証を保持している。
一方「返納した」と答えた者は6.0%に留まった。「免許を返納しようと思う条件」を質問したところ、「公共交通機関の無料化」39.0%に次いで、「自転車道が整備され、自転車で安心して走行できるようになる」が35.0%、「自転車・電動アシスト自転車の購入補助」26.5%など自動車に代え自転車を活用したいという意向も垣間見られた。
「自動車を運転しない・自転車を利用している理由」について尋ねたところ、「公共交通を利用」54.4%、「自転車利用で十分」47.1%に加え「自分の運転技術に不安」が27.1%と4人に1人以上が運転技術に不安を持っているようだ。このレポートの結果からは高齢者の自転車利用の促進が高齢者運転による交通事故の抑制に効果がある可能性が示唆されている。(編集担当:久保田雄城)