徴用工問題に端を発し、政府が韓国への輸出規制強化を「安全保障上」を理由に「貿易問題」でなく「安保レベル」の問題に引き上げてしまった結果、韓国は北朝鮮の核・ミサイル情報を日本と共有する「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を破棄する決定を22日行った。協定継続更新期限日は24日だった。協定ではいずれかが破棄の意思表示をしない限り1年毎に自動更新することになっていた。
聯合ニュースが「韓国大統領府が協定を更新しないことを決めた、と発表した」と伝えた。それによると「金有根(キム・ユグン)国家安保室第1次長は『GSOMIAを終了することを決めた。協定の根拠に基づき、延長通知期限内に外交ルートを通じ、日本政府にこれを通知する』と述べた」と報じている。
安倍内閣が韓国への輸出規制強化の根拠に安全保障をあげた当初から、GSOMIAの更新に影響が出ることは予測されていた。韓国側は「両国間の安全保障協力の環境に重大な変化をもたらした」と日本政府の対応からは「安全保障上の敏感な軍事情報の交流を目的とするGSOMAIの維持は国益に合致しない」と判断した、という。
2016年に稲田朋美防衛大臣時代に締結された協定はわずか3年で破棄される破目になった。日韓間で安全保障という重要な部分で信頼関係が損なわれたと明確に示された格好で、GSOMIA破棄はないだろうと考えてきた安倍政権にとって、保守派に押され強気一点張りの対応が日米韓3か国連携にも影響を与える結果を自ら招いたことは防衛政策上の汚点ばかりでなく、国益を大きく損ねる結果になった。(編集担当:森高龍二)