かつて娯楽産業の花形であったパチンコ産業は2000年代に入ってから顧客離れが進み店舗数は減少傾向で推移している。パチンコはギャンブル依存症との関連から批判的に話題になることも多かったが、この観点から18年に遊技機規則が改正された。この改正の影響で顧客離れがさらに加速することも懸念されており、パチンコ産業は今正念場をむかえているようだ。
13日に矢野経済研究所がパチンコ・パチスロファンの遊技動向調査の結果と25年までのパチンコ産業の将来予測に関するレポートを公表している。
パチンコ利用者の数について見ると、19年2月に行った18歳から70歳までの男女3万人を対象としたインターネット調査から推計された18年のパチンコ・パチスロ参加人口は820万人で、パチンコのみが316万人、パチスロのみが148万人、双方が356万人という内訳になっている。年齢別にみると、パチンコはパチスロよりも高齢者層の割合が多く加齢による参加率低下の影響を強く受けており、今後パチンコは高い減少率で推移する見通しとなっている。
今後の予測については、売上高で見た市場規模が新規則遊技機の売上性能低下、店舗数や遊技機台数の減少により加速度的に縮小するものの、新規則遊技機への移行に伴う混乱は22年から落ち着きを見せ、その後は穏やかな減少で推移していくと予測されている。
売上の減少に比例して粗利も大幅に減少し、この影響で設備投資が滞る可能性が高く、遊技機投資の減少がさらに集客減を招き市場は急速に悪化する懸念があるとされる。
18年末での警察庁による営業許可ベースのパチンコ店舗数は1万60店舗であるが、研究所の独自推計では18年夏には1万店舗を割り込んでいるとされる。今後、新規則機への移行に伴う多大な投資負担が発生することから20年、21年には店舗の淘汰はさらに加速すると予測されている。
パチンコホール経営企業グループ数は18年12月末時点で2297グループ存在し、ここ数年は年間100~150グループが姿を消しており、当面はこのペースで推移すると見込まれる。
レポートは「パチンコ産業はまさに正念場を迎えていると言え、パチンコホール経営企業のみならず、遊技機メーカーや周辺設備機器メーカーにおいても、この先数年間が生き残りを懸けた勝負どころであることは間違いない」としている。(編集担当:久保田雄城)