ギャンブル依存とは 問題の背景に着目の必要

2019年02月06日 06:32

画・ギャンブル依存症は320万人 厚労省調査で明らかに

ギャンブル用の電子ゲーム機、いわゆるパチンコ台は、全世界のシェアの6割を日本が占めている。隠れたギャンブル大国なのだ。ギャンブル依存に陥るのはストレスや病気などの弊害であることが多く、根本的な原因を解決しなければ依存から抜け出すことは困難である。

 パチンコや競馬のような遊興施設や公営競技のなかでも、依存性のあるものとして問題化されるのがパチンコだ。日本ではパチンコ店で得た景品を景品交換所が買い取る「三店方式」となっているため、厳密にいうとギャンブルとして扱われていない。しかし、国際的にいえばパチンコ台は「ギャンブル用電子ゲーム機械」とされる。アメリカでは「ゲイミング・マシン」、イギリスでは「フルーツ・マシン」と呼ばれ、各国ではギャンブルとして分類されている。

 ギャンブル施設に対して入場料を払わなければいけないシンガポールや、ロスリミットを設定できるオーストラリアなどと比べて、日本ではパチンコ店などへの入店規制が低い。そのため、ギャンブル依存を引き起こす可能性も高くなっている。

 しかし、単純にパチンコなどの娯楽を楽しむことが 深刻なギャンブル依存を生んでいるわけではないという。ギャンブル依存には、その背景にストレス発散や病気からの現実逃避など、深刻な問題が潜んでいる、

 たとえば、家庭内や職場でのストレスをパチンコで発散させる人もいる。日常から解放され、非日常の場に置かれた時の快感を忘れることができず、それを繰り返すことで依存症になるのだ。病気の場合もそうである。パチンコ店の刺激の中では症状を意識しないで済むため、だんだんと居場所をパチンコ店に求めてしまう。

 これらは、ストレスや病気といった一次障害が引き起こす二次障害としてのギャンブル依存である。ギャンブル依存には身体的な症状がないため、ギャンブルのことで頭が占められていれば、一次障害が楽になったような錯覚に陥るのである。ギャンブル依存に効果がある

 医薬品はいまだ開発途上であり、精神的な認知療法や当事者で集まって自助活動を行うという方法が治療として一般的だ。

 依存者の家族の問題もある。ギャンブルで借金を負うこととなったり依存者を見捨てざるを得ない状況になったりするなど、家族にとっても解決が困難な事態になるが、依存者にとってもさらなる孤立を招き、ますますギャンブルへの依存が強くなるのだ。

 認知療法などにおいては、自らがギャンブル依存に陥ってしまった理由やギャンブル依存の仕組みについて学ぶことができる。精神的な療法しかギャンブル依存を改善させていく方法がない現在、家族や医師との連携によって問題を解決していく必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)