カジノを含むIR(統合型リゾート施設)実施法案が19日の衆院本会議で自民、公明など賛成多数で可決し、衆院を通過した。審議の場は参院に移る。
政府・自民党らは今国会の会期を延長し、残業代ゼロ法案と揶揄され、問題が指摘されている「高度プロフェッショナル制度」を含む働き方改革関連法案などの成立を目指す方針だ。
「民間賭博」を解禁しギャンブルを成長戦略に据えることへの批判、疑問、ギャンブル依存症やギャンブルが原因の自己破産など、懸念の声に確かな答えをださないまま、数の力で押し切られることになりそう。
IR法案では(1)日本と国内居住外国人が施設に入場する際、6000円を徴収する(2)入場できるのは週3回かつ28日間で10回までとする(3)新設行政機関「カジノ管理委員会」が事業者を選定し、管理するなどの条件を設けている。
カジノ法案の問題を指摘する江田憲司衆院議員(無所属の会)はブログで詳しく問題点を指摘している。
例えば「入場できるのは週3回かつ28日間で10回までとする」との規定についても「週3回も行く人はすでにギャンブル依存症でしょう」。
また我が国はすでにギャンブル依存症患者(成人に占める比率)がフランス(1.2%)、イタリア(0.4%)、ドイツ(0.2%)に比べても「3.6%」と高いことも挙げた。パチンコ依存症が多いようだ。
また施設入場料6000円についても「依存症患者は入場料を高くしても、それ以上、元をとれば良いと考えるので『マイナス6000円』から賭けを始めるだけの話。それを取り返そうとのめりこむ危険さえある」と警鐘を鳴らす。
さらに安倍総理が語る「世界最高水準のカジノ規制」についても「どこかで聞いた言葉。原発の安全規制で安倍首相は『世界最高水準』と言うが、米国等が安全審査の対象としている『住民の避難計画』を外して自治体任せにしておいて、どこが世界最高水準なのか」と言葉通りでないことも指摘。
江田議員は「カジノ規制も韓国では『内国人利用可のカジノ』は『公営』に限り、手軽にカジノを利用できる周辺の地域住民は月1回しか入場できない」と紹介。
また、「大都市(100万都市)から車で2.5時間以上という設置基準も設け、日本より厳しい規制をしている。シンガポールの入場料は8000円」とここでも日本の規制が世界最高ではないと指摘し、法案に反対している。審議を十分に尽くすことが求められている。(編集担当:森高龍二)