東芝グループが仏・再開発地域のスマートコミュニティ実証事業開始

2011年12月19日 11:00

 東芝および東芝ソリューション(以下、「東芝グループ」)は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が行う「フランス・リヨン再開発地域におけるスマートコミュニティ実証事業」(以下、本実証事業)の委託先に選定されたという。

 東芝グループは今年1月から10月末まで同事業の実施可能性調査を行っており、今回、同社提案の合理性が評価されたため、NEDOから実証事業の委託先として選定された。期間は2012年1月から2016年3月末までで、同事業に関するNEDOの実証事業予算は約50億円となる。

 同実証事業はフランス第二の都市であるリヨン市において、NEDOとリヨン市が共同で、都市再開発に合わせて新築されるビルにおいて、PEB(ポジティブ・エナジー・ビルディング)を達成するための関連技術を導入。さらに情報通信技術を用いた太陽光発電遠隔監視システムや電気自動車充電・カーシェアリングシステム、及び都市再開発地域内でのエネルギー管理などの仕組みを構築するものだという。東芝グループは、同実証事業における四つの分野の事業に関して、日本側の取りまとめ企業として一括で受託する。

 一つ目の分野では、都市再開発にあわせて新設されるビルにおいて、太陽光発電設備、LED照明システム、二次電池「SCiB」などの蓄電池システムを導入。さらに、経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証事業」の「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」において同社が導入するシステムをベースとした、BEMSやHEMS等を構築する。二つ目の分野では、太陽光発電などの再生可能エネルギーを効率的に電気自動車に供給するエネルギーマネジメントシステムや太陽光発電システムの遠隔監視システムなどを導入。三つ目の分野では、家庭内での本実証事業全体のエネルギー消費動向を管理する。また四つ目の分野では、1つ目から3つ目の分野で収集したリアルタイムでの情報をとりまとめ、スマートコミュニティの実現を支えるコミュニティマネジメントシステムを導入するという。

 東芝グループは、同実証事業を通して、都市再開発の中で省エネビル・電気自動車等を含む、需要サイドから供給サイドまでを組み込んだスマートコミュニティに関するさまざまな技術や事業性などについて検証。同社は、これまで「米国ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証」やインドにおける「デリー・ムンバイ産業大動脈構想」、中国における「天津市環境都市プロジェクト」などの海外におけるスマートコミュニティ関連のプロジェクト13件に参画している。

 今後も、東芝グループは、スマートコミュニティ関連事業への参画を通して、基礎技術の確立を図るともに、積極的に事業拡大を推進していく。