今年4月、経団連と大学の間で新卒「通年採用」の導入が合意された。この背景には近年の人材難があり、日本企業と一括採用の慣習を持たない外資系企業との人材確保での競争激化がある。この合意により2021年春から企業は年間を通し新卒、中途を問わず自由なスケジュールで採用活動が可能となるが、この制度の導入による様々なメリット・デメリットが議論されている。
これに関連して日本財団が17歳から19歳の男女1000人を対象に「18歳意識調査」第18回(テーマ:働く)を8月に実施、この中で大卒「通年採用」、高卒「一人一社制の見直し」についてアンケートを行っている。
17日に公表された集計結果によれば、「通年採用」に「賛成」と答えた者の割合は29.5%、「反対」が6.4%、「わからない」が64.1%という結果だった。「わからない」が多数派とはいうものの「賛成」が「反対」を大きく上回り通年採用を肯定的に受入れている若者も多いようだ。
「賛成」と答えた者にその理由を複数回答で聞いたところ、「企業・学生とも時間をかけて相手を選べる」が54.2%で最も多く、次いで「企業が実績や能力のある人材を獲得できる」43.4%、「就労形態が多彩になる」42.7%の順となっている。賛成理由の上位はミスマッチの是正を評価しているとも捉えられ、通年採用制度の導入の目的とも一致している。
一方、「反対」の理由では「就職活動期間には区切りがほしい」と「実績がない新卒には不利」が各35.9%、「就職活動が長引く」と「勉学に支障がでる」が各32.8%となっている。反対意見は既に多くの指摘が出ているように学業への悪影響を懸念しているようだ。
高卒「一人一社制の見直し」については、「賛成」が47.3%、「反対」4.3%、「わからない」48.4%となっており、やはり「わからない」が最多であるものの「賛成」が約半数で「反対」を大きく上回っている。「賛成」の理由としては、「いろいろな可能性を試せる」、「就職先の幅が広がる」、「複数の企業に応募できるようになると選択肢が増える」など積極的な意見が目立っている。
「通年採用」も「一人一社制の見直し」についても未だメリット・デメリットが不透明で大多数は戸惑っているようであるが、両者とも可能性が広がることに対しては歓迎的に受け止めている者も多く、現代の若者の積極的な姿勢がうかがえる。(編集担当:久保田雄城)