イルミネーションの季節到来! 光の演出に願いをこめて

2019年11月10日 11:39

ローム1107

古都の夜を鮮やかに彩る、ローム本社前のイルミネーション。紅葉とのコントラストが見事な、メタコイア並木は、京の秋冬の風物詩になっている

夜の寒さが深まるにつれ、全国各地で美しいイルミネーションの灯がともり始めている。真冬の澄んだ空気の中で見るイルミネーションも美しいが、シーズンのはじまりを彩る秋のイルミネーションは、紅葉を背景にして特別な趣を醸し出す。

東京では早くも、10月5日から大井競馬場において関東最大規模のイルミネーション「東京メガイルミ」が始まっており、多くの人出で賑わっている。今年の目玉は、フルカラーレーザーと樹木型イルミで演出する「オーロラの森」と、水を使った豪快な光のエンターテイメント「虹色に輝く光の大噴水」。ここでしか見られない圧巻のイルミネーションで観客を魅了している。

 全国各地で次々と行われるイルミネーション、どこへ行こうか迷う人もいるのではないだろうか。近年では、ただ美しいイベントとしてだけではなく、イルミネーションに意味を持たせ、社会貢献活動の一環として実施する企業も増えている。今回は、地域の人に愛されている、無料で楽しめるイルミネーションをいくつか紹介する。

 その中でも歴史が古いのが、電子部品メーカーのローム株式会社〈6963〉が1995年から、地域貢献を目的に京都の本社周辺で実施しているイルミネーションだ。これは、京都の幹線道路である五条通りに面したローム本社周辺、敷地内の木々を利用して毎年行われているもので、今年も11月22日から12月25日までの約1ヵ月にわたって開催される。京都市最大級のイルミネーションにもかかわらず、無料で見られる上に、週末ともなると、恒例の大学生アカペラコンサートなどのさまざまなイベントも催されるので、大勢の家族連れでにぎわうという。今や古都の秋冬を彩る名物イベントとして、地域の住民を中心に、観光客にも親しまれている。とくに、まっすぐに続くメタコイア並木が紅葉する11月下旬から12月初旬にかけて、紅葉を背景に約86万球のLED電球が夜空に煌めく様は、関西のイルミネーションでも屈指の美しさを誇る。

 また、平成16年に発生した中越大震災や同年7月に起こった新潟・福島豪雨で甚大な被害を受けた新潟県長岡市では、産業用切削工具の製造販売を行うユニオンツール〈6278〉が、同社長岡工場の前庭で、デザインから装飾まで社員で行うクリスマスイルミネーションを開催している。子どもに大人気の光のトンネルをはじめ、長岡市復興のシンボルでもある不死鳥フェニックスをデザインしたイルミネーションなど、被災から15年経った今でも深い傷あとが残る住民たちの心を癒す光の演出を展開している。

 複数企業の協賛により実施される街全体のライトアップもある。大阪では今年も11月4日から、来年の1月31日までの期間、なにわの街を眩い光で包み込む「大阪・光の饗宴2019」を開催する。同イベントは「水と光の首都大阪」のブランド確立・向上や大阪の観光振興と活力向上を目的に大阪府都市魅力創造局や大阪市経済戦略局らからなる

 大阪・光の饗宴実行委員会が主催しているもので、今回で7回目の開催となる。御堂筋と中之島を光で彩るコアプログラムでは、梅田から難波にかけて南北に貫く大阪のシンボルストリート「御堂筋」の並木が、約4kmにわたってライトアップされ、大阪らしいド派手な光の祭典となる。大阪ゆかりの多くの企業が協賛に加わっているほか、大阪ガス〈9532〉の御堂筋東ビル(OMEビル)や南海難波ビル、本願寺津村別院(北御堂)なども、この時だけの特別なライトアップが施され、大阪の街を元気にする光を提供している。

 美しいだけでなく、明かりの中に様々な人たちの優しい思いや願いが込められたイルミネーション。寒いからといって屋内にこもっているのではなく、ちょっと足を延ばして観に行くことも、地域を元気にすることに繋がるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)