高齢者の3人に1人、「栄養が充足しない食生活」の可能性

2020年02月02日 11:18

画・高齢者の3人に1人、「栄養が充足しない食生活」の可能性。

日本能率協会が「高齢者の食卓写真調査2019年」を実施。分析の結果によると「カルシウム、ビタミン、食物繊維が不足している」傾向がみられた。3人に1人が「栄養が充足しない食生活」の可能性。

 人生100年時代とも言われ健康寿命への関心が高まっている。2005年には食育基本法が制定され健康寿命を延ばすバランスの取れた食事への啓蒙も行われている。民間企業のマーケティング分野でも高齢者の健康を「食」の視点から支える動きが重視されるようになってきているようだ。

 このような動向を受けて日本能率協会総合研究所が昨年「高齢者の食卓写真調査2019年」を実施し、その結果の一部を14日に公表している。この調査では高齢者の普段の食事の実態を写真で把握し、その食事内容から不足しがちな栄養素等を把握する栄養素分析を行った。

 レポートによれば、この調査で回答した高齢者50名の食事内容を栄養素分析した結果では「脂質、食塩相当量が多く、カルシウム、ビタミン、食物繊維が不足している」傾向が見られた。

 さらに、回答した高齢者50名を栄養素の充足状況に従って、栄養素の充足状況が良好な高齢者のグループ「充足率High群」と多くの栄養素が充足していない高齢者のグループ「充足率Low群」という2つのグループに区分した。

 その結果、「High群」に属する高齢者は33名で全体の66%、「Low群」は17名で34%となった。つまり、高齢者の3人に1人が「栄養が充足しない食生活」を送っている可能性があることになる。

 この「Low群」の食習慣の特徴を見てみると、「毎日3食摂っている」については「High群」と差は無いが「軽めに済ませている」では「Low群」の方が高くなっている傾向が見られる。さらに「Low群」の食事内容の詳細をみると「パンやおにぎりを食べる頻度が高い」、「お菓子を食べる頻度が高い」といった傾向があるようだ。

 「普段の食事で健康を気遣う意識」についてみると「積極的に気づかっている」、「気づかっている」、「少し気づかっている」の合計は「High群」、「Low群」ともに94%ほどで両者に差は無く、「Low群」の者も「普段の食事で健康を気遣う意識」は高いようだ。

 レポートではこの状態を「健康意識は高いが、健康や食事に関する十分な知識を持っていない状態」、「健康・食リテラシーが低い高齢者」と位置付けている。その上で「自らの食行動では栄養素が不足しがちであることに気づきを与えるような働きかけ・コミュニケーションが重要である」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)