2011年3月11日の東日本大震災から9年が経過した。未曾有の災害により東北地方の産業は壊滅的な打撃を受けた。その後、東北経済は復興の道を歩んできたが、この9年間の東北経済の道のりはどのようなものであったか、現況はどのようなものか。
6日、この点に関して東京商工リサーチが「東北6県、東日本大震災後の企業業績調査」のレポートを公表している。このレポートは東京商工リサーチが保有する企業データベースをもとに東北6県の7178社について10年度から19年度にかけての業績の推移を分析したものだ。
レポートによれば、震災前の10年度の売上高を100.0と指標化すると、インフラ復興の盛り上がりに伴い14年度には124.4まで上昇したものの、これ以降は伸びが鈍化し、直近の19年度は124.6となって18年度の125.7を下回り前年割れの状況だ。レポートでは復興需要のピークアウトが示唆されている。
利益についても同様に指標化してみると、震災時の11年度はマイナス25.7までに落ち込んだものの12年度は502.3まで急回復し、その後は17年度の575.1まで上昇傾向を維持していたが、18年度は555.3と前年割れとなり、直近19年度には490.2と5年ぶりに500を割り込む結果となっている。
産業別に売上高の推移を見ると、やはり全体を牽引してきたのは復興需要を背景にした建設業で16年度には162.3という高水準を記録している。しかし、18年度、19年度と2年連続で前年割れとなっており、やはり復興需要のピークアウトによる減速が示唆される。製造業については3月期決算の大手メーカーが含まれていない速報値という条件付きだが回復の勢いは鈍いと判断されている。
他の地域と比べると12年度から17年度まで復興需要やインバウンド効果を背景にトップの伸びを示していたが19年度では124.6と全国指標125.2を下回り減速傾向だ。19年度の利益については490.2で全国の287.6と比べ高水準だが伸び率のマイナス幅が他の地域と比べ大きくなっており、やはり勢いを失っている。
東北の19年の企業倒産は405件、前年比13.1%の増加となっており、震災関連倒産は20年2月まで108カ月連続で発生している。9年が経過した現在もなお業績回復に苦しむ企業が多数存在する実情のようだ。
レポートは「業績推移が踊り場に入った今こそ、道半ばの震災復興への支援と自立的復活が課題になっている」と結んでいる。(編集担当:久保田雄城)