安倍晋三総理主催の「桜を見る会」に総理の地元後援会員らが多数招待され、予算を大幅に超過させたのは背任にあたる」として神戸学院大学の上脇博之教授らが今年1月14日に東京地検特捜部に告発状を提出していた案件が、東京高検検事長だった黒川弘務氏の検事長定年延長が閣議決定された1月31日に「不受理」にされていた。
日本共産党は機関紙「赤旗」日曜版(5月31日号)で自民閣僚関係者や特捜部OB、元最高検検事への取材のよる見解も紹介し、報じた。元最高検検事の清水勇男氏は「告発状は形式さえ整っていれば基本的に受理されるべきもの」としたうえで、東京地検が受理しない理由に「代理人による告発は、刑事訴訟法に規定がなく、認められないと解するのが通説とされている」としていることにも「代理人による告発だから受理しないというのも理解しがたい」と地検の姿勢が理解できないものだとした。そのうえで「長期間にわたって受理しないのは、本来の手続きを外れている」と。
また、特捜部OBの話として「政治案件の場合、特捜部は東京高検、最高検、法務省の3つの上級官庁に報告・相談する。直接の上級機関、東京高検の判断は大きい」と語ったことも紹介した。
自民党の閣僚経験者は「告発が受理されれば、検察が不起訴にしても、検察審査会が強制起訴する可能性がある。官邸はそのことを恐れたのではないか」と推察。
検事総長に「官邸の門番」と揶揄される黒川氏を据えたかった理由がうかがえそう。桜を見る会を巡っては、安倍総理の後援会が都内のホテルで主催した「前夜祭」について、今月21日、弁護士や法学者ら662人が安倍総理と安倍氏の後援会幹部2人の計3人を公職選挙法違反(寄付行為)と政治資金規正法違反の疑いで告発状を東京地検に提出している。
1人少なくとも1万1000円はかかる飲食代を5000円しか徴収しておらず、6000円程度を利益供与している、というもの。東京地検がこうした犯罪捜査の負託を受け、告発状を受理し、捜査に着手するのか、注視される。(編集担当:森高龍二)