桜答弁、検事長定年延長に、石破氏も強い疑問

2020年03月03日 06:13

 今や、自民党内には石破茂元幹事長や石破氏支持議員以外から桜を見る会やその前夜祭に行われた安倍晋三総理への疑念に対する総理の対応への疑問や「官邸の門番」などと揶揄される東京高検の黒川弘務検事長の定年延長問題に面と向かって疑問を投げることのできる議員はいないのか。嘆かわしい状況だ。

 石破元幹事長は一般会計予算案が衆院を通過した2月28日のブログで、改めて「桜を見る会の総理後援会前夜祭については、ホテルの領収書と明細書の有無についての確認ができれば簡単に済む話なのでしょうが、それが出てこないのも不思議でなりません」と強い疑問を提起した。多くの国民が同じ思いでいることを安倍総理は自覚し、客観的資料を示して説明すべき。自民党からこうした声が広がらないのが深刻さをうかがわせている。

 東京高検の黒川検事長の定年延長問題についても、石破氏は「一般の公務員とは異なり、検察官には定年延長は適用されないとしてきた政府解釈を突如変更した理由と経緯について、国民が十分に納得出来る説明が必要」と指摘。

 そのうえで「現・東京高検検事長はおそらく有能で正義感に溢れた方なのでしょうが、それならそれで『彼は余人をもって代えがたい。現在のこの案件には彼以外対応できない』というある程度具体的な説明が必要でしょうし、正攻法で検察庁法自体の改正という方法を取らなかった理由も不分明」と政府の対応に疑問を提起している。

 加えて、石破氏は「法務省には『行政機関がその意思決定に至る過程ならびに事業の実績を合理的に跡付け、後に検証できるように事務及び事業の内容を文書にする(軽微なものは例外とする)』という文書主義に基づく文書管理規則があるが、何故今回は口頭による決裁が行われたのか、明快な答弁ではありませんでしたし、法務省の考えを了とした人事院の意向を示した文書に日付がないことについて『人事院事務総長が法務事務次官に文書を手交したので文書に日付は不要』とした人事院の答弁もいまだによく理解できません」とも。

 石破氏は「高官が手交すれば書類に日付は不要、と行政官が心底思っているわけでもないでしょう。参院審議で国民が納得いく説明をされることを期待する」と控えめにしているが、法治国家の基盤を崩す所業を許すことがあってはならない。定年延長の閣議決定を撤回し、白紙に戻すことが求められている。

 これだけ定年延長が重大問題として国会で議論になっているなか、当事者の黒川氏がダンマリの状態。前文部科学事務次官の前川喜平氏は「何か辞めるに辞められない事情があるのですか?黒川さん」とツイッターで発信した。(編集担当:森高龍二)