官邸主導のイージス・アショア 「撤回」決定

2020年06月26日 06:14

 政府は24日の国家安全保障会議(議長・安倍晋三総理)で秋田、山口に配備計画していた陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」について、計画そのものを撤回することを決めた。

 今回、最大ネックとなったのは河野太郎防衛大臣によると「約束した『演習場』(または海上)に確実にブースターを落下させることがソフトウェアの改修ではできない、一方、ハードウェアの改修でかかる費用と期間は合理的ではない」という致命的なものだった。

 また、当初計画地以外に、適切な候補地は見つけられないということも背景にあるよう。もともと、イージス・アショア導入について軍事ジャーナリストの清谷信一氏は「アメリカ政府の歓心を買うために官邸、特に和泉洋人総理補佐官の独断専行であるといわれており、防衛省は蚊帳の外だった」と指摘。設置の貢献度についても「対処できるのは北朝鮮からの弾道弾攻撃のみで、中国の脅威対処等、ほかの海域の日本の安全保障には役に立たない」と指摘していた。

 今回のイージス・アショアの問題、問われるべきは官邸主導で決まった背景からも安倍総理の責任は重い。イージス・アショアを巡ってはすでに国内外で196億円を支出済み。契約済み額は1900億円と言われており、河野大臣は23日の記者会見で「契約していることは契約をしているし、それに応じてかかった費用については負担しなければならないとは思っている。今後、米側とのやり取りになろうかと思う」と語った。(編集担当:森高龍二)