軍隊は住民を守らなかった、国体を守りたかった

2020年06月24日 06:42

 沖縄県民4人に1人が命を落とした「沖縄戦」から75年を迎えた23日、政党がそれぞれ談話を発表した。中でも衝撃的な発表は社会民主党・吉田忠智幹事長談話。

 談話では『国体護持』のため本土上陸を遅らせる時間稼ぎの捨て石として住民が総動員された『軍民混在の戦場』。「正規軍より一般住民の死者が多かった」史実とともに吉田氏は「軍隊は住民を守らなかった」。軍隊が守ろうとしたのは国体であったことを浮き彫りにした。

 吉田氏は「沖縄県によると一般住民の犠牲者は推計約9万4千人に上る。旧日本軍は食糧を強奪し、壕やガマに避難した住民を砲煙弾雨の中に追い出し、自分達が隠れた」と指摘。

 また「スパイ嫌疑による虐殺も相次いだ。『集団自決』への軍の命令・強制・誘導も行われた。しかも、旧日本軍の軍事施設がある島や旧日本軍が駐屯する島だけがアメリカの攻撃に遭い、甚大な被害を受けている。戦争体験者が少なくなる中、二度と同じ過ちを繰り返さないように、大切な命を犠牲にしないように、こうした沖縄戦の実相をしっかりと学び、過酷な地上戦から導かれた、『軍隊は住民を守らなかった』という教訓をしっかり継承し、戦争を生き延びた人々の体験、思いをつないでいかなければならない」と衝撃的な内容を綴っている。

 そのうえで吉田氏は「安倍政権は幾度も示された県民の民意を一顧だにせず、辺野古新基地建設を推し進め、土砂投入を強行している。米国の要求で進めてきた(陸上配備型迎撃ミサイルシステム)イージスイージス・アショア計画を停止できるなら、『辺野古が唯一』との神話からも決別できるはず」と提起した。

 そして「沖縄戦から75年の今日を迎え、社民党は『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意』し、戦争放棄と平和的生存権を宣言した平和憲法を活かし、『平和で誇りある豊かな沖縄』を実現するため、全力をあげることを改めて誓う」と決意を述べ、結んでいる。(編集担当:森高龍二)