2月下旬、新型コロナ感染症対策の政府基本方針が発表され3月より本格的な自粛体制に入った。これにより多くの企業で売上高が大幅に減少するなど資金繰り面で苦しい状況に追い込まれることになる。年度末ということもあり平時においても資金繰りが逼迫する時期でもあり資金ショートを主因とする経営破綻や連鎖倒産が危惧された。
政府が様々な支援策を講じる中、銀行も信用保証制度や金融庁など行政の支援をバックに積極的な倒産回避の融資を行い地域経済の支え手としての銀行の存在感を示したと言える。銀行業界ではメガバンクでのリストラや地方銀行の再編など経営環境は決して良好な状態ではなく、コロナ禍での積極融資も本業収益をさらに圧迫するものとなっているようだ。
先月末、帝国データバンクが2020年3月期における国内主要109行の預金・貸出金等実態調査の結果を公表している。調査対象となった金融機関は大手銀行7行、地方銀行64行、第二地方銀行38行の109行である。
レポートによれば、3月末の国内主要109行の預金総額は797兆1853億6700万円で前年同期と比べ3.3%の増加となっている。業態別には、大手銀行の前年比が4.3%の増加、地方銀行が同2.0%の増加、第二地方銀行が1.6%増加と3業態すべてで増加となっている。
貸出金の総額は555兆115億9500万円で前年比3.3%の増加となっており預貸ともに増加だ。業態別では、大手銀行が前年比3.5%の増加、地方銀行は同3.2%の増加、第二地方銀行2.5%の増加で貸出金についても3業態すべてで増加となっている。融資先から受け取った貸出金利息は 6兆9898億9200万円で前年同期比では3.6%の減少となっている。業態別には大手銀行が4.9%の減少、地方銀行1.5%減、第二地方銀行2.8%減と3業態すべてで減少した。構成比を見ると109行中83行、76.1%が減少だ。
貸出金利息から預金利息を差し引いた本業利ざやを見ると5兆5888億5000万円で前年比4.4%の減少だ。業態別には、大手銀行7.3%減、地方銀行1.0%減、第二地方銀行2.3%減と3業態すべてで減少し、特に大手行の減少が目立つ。
レポートでは「今後は、新型コロナウイルスに関する緊急融資の影響として、貸出金の増加や利息率の変動などが銀行決算に反映されることが予想される」としている。銀行でも新型コロナの影響で本業収益の悪化が加速しているようだ。(編集担当:久保田雄城)