2020年版「防衛白書」が刊行された。わが国が保持できる自衛力について、白書は「自衛のための必要最小限度のものでなければならない」としたが、「具体的な限度は国際情勢、軍事技術水準、その他諸条件で変わり得る相対的な面がある」とし「毎年度の予算などの審議を通じて、国会において判断される」と必要最小限度について「国会の判断」とした。
また憲法9条2項で保持を禁止する『戦力』にあたるか否かについて、白書は「それを保有することで、わが国の保持する実力の全体がこの限度を超えることとなるか否かによって決められる」と記述。禁止される戦力の具体例として「大陸間弾道ミサイル(ICBM)、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母の保有は許されないと考える」と明記した。
自衛権行使の範囲については「わが国の領土、領海、領空に限られない」とし「具体的にどこまで及ぶかは個々の状況に応じて異なるので、一概に言えない」とした。
一概には言えないが「武力行使の目的をもって武装した部隊を、他国の領土、領海、領空に派遣する、いわゆる海外派兵は自衛のための必要最小限度を超えるものであり、憲法上許されないと考えている」としている。(編集担当:森高龍二)