2020年上半期「倒産件数」、11年ぶりに前年比増加。宿泊業や飲食業などが目立つ

2020年07月14日 06:56

画・2020年上半期「倒産件数」、11年ぶりに前年比増加。宿泊業や飲食業などが目立つ。

東京商工リサーチが2020年上半期の全国倒産集計を発表

 日本の景況は米中摩擦の影響で2018年央より製造業を中心に減速感が増してきた。さらに、昨年10月の消費税増税と台風被害、それに続く暖冬傾向により内需関連指標も悪化傾向を見せ景気後退入りを指摘する声が多くなっていた。

 8日に東京商工リサーチが20年上半期(1月から6月)の全国倒産について調査した結果レポートを発表している。レポートによれば、今年上半期における負債額1000万円以上の倒産件数は4001件で前年同期と比べ0.27%の増加となった。増加幅はわずかではあるものの上半期としてはリーマンショック直後の09年以来、11年ぶりに前年同期を上回ることになる。しかし、水準としては09年8169件の半分以下で今のところ低水準を維持している。

 負債額は6751億800万円で前年同期と比べ13.7%の減少となっている。100億円以上の倒産は減少しているが1億円未満は2961件で前年比0.4%の増加、全体の74.0%を占めており小口倒産が中心だ。

 倒産原因は「販売不振」などの不況型倒産がほとんどで、「販売不振」は2887件で全体の72.2%を占め、前年比0.7%の増加だ。これまで「人手不足」関連倒産が大きなトピックであったが、上半期は253件で前年比33.2%増と引き続き深刻なようだ。また「新型コロナウイルス」関連倒産は240件発生しており「人手不足」関連倒産にせまる勢いで今後の動向が注視される。

 産業別に見ると、10産業のうち6産業で前年を上回った。インバウンド需要の消失、外出自粛などの影響を大きく受けた宿泊業や飲食業が含まれるサービス業他が1295件、前年比3.8%の大幅な増加で最多となっているなど新型コロナの影響が色濃く出ている。

 業種別でも宿泊業が前年比140.0%増、飲食料品製造業36.4%増、汎・生産・業務用機械器具製造業19.2%増、飲食料品卸売業17.0%増、印刷・同関連業16.2%増、飲食業が同9.7%増、繊維・衣服等卸売業8.6%増などとなっており新型コロナの影響が感じられる。

 従業員規模を見ると、最多が5人未満の2923件で前年比0.3%増加しており、全体の73.1%を占め零細小口倒産が中心のようだ。レポートを見る限りでは、昨年より不況が始まっており、引き続き人手不足が深刻な中、新型コロナが追い打ちをかけているようだ。今後は新型コロナ関連倒産の動向が注目される。(編集担当:久保田雄城)