吉村洋文大阪府知事の発言が波紋を呼んでいる。吉村知事は8月4日の会見で、イソジンなどの商品名で知られる「ポビドンヨード」のうがいによって、新型コロナウイルスの量が減る、もしくは重症化を防ぐといった内容を語ったからだ。同知事は今回のコロナ禍での対応の速さなどから、大阪を中心とする関西地域で特に大きな支持を得ていることもあり、その影響で「ポビドンヨード」配合のうがい薬が店頭から姿を消す騒ぎになっている。
とはいえ、この「ポビドンヨード」の効果・効能に関しては、実はコロナ流行初期から話題になっており、薬局やドラッグストア、通販サイトなどでも品薄の状態が続いていた。うがいだけでなく、液を薄めて手指の消毒などに使っている人も多いという。実際のところ、その効果は期待できるのだろうか。
結論から言えば、現段階ではポビドンヨードに新型コロナウイルスを撃退する効果は期待できないと考えた方がよさそうだ。専門家の意見を集約すると、ポビドンヨードが高い殺菌性を持っていることは疑うべくもないが、飛沫に含まれる新型コロナウイルスの量を短時間減らし、拡散を一時的に抑える効果は期待できるかもしれないという程度のようだ。つまり、マスク的な効果は期待できても、
「特効薬」ではないということだ。しかも、その強力な殺菌性が逆に、喉や口腔内の正常な細菌や粘膜などを損傷してしまう可能性もあるという。最悪の場合、バリア機能が損なわれることで、かえって感染リスクが高くなるかもしれない。また、薬自体の安全性は高いものの、長期的に使用することで甲状腺機能を害したりする可能性もあるようだ。
一方、このコロナ禍において、ポビドンヨードのほかにも高い抗菌能力で注目されているものがいくつかある。その代表格ともいえるのが「マヌカ蜂蜜」だ。
マヌカ蜂蜜は、ニュージーランドにしか自生しない「マヌカ」という樹木を蜜源として採取された希少な蜂蜜だ。ヨーロッパなどでは古くから薬用にも用いられているほど、高い抗菌性で知られている。日本でも、健康に関心の高い人の中ではコロナ以前から注目されていたが、TV や新聞などでその健康効果が紹介されたことで、人気が爆発した。
実際、山田養蜂場の研究によると、細胞にて蜂蜜を添加し、インフルエンザウイルスに感染させたところ、試験した蜂蜜の中でマヌカが最も活性が強かったという。マヌカの抗インフルエンザ活性の本体は、メチルグリオキサールで、その量は商品化されたマヌカ蜂蜜のパッケージやラベルに
書かれている「MG」や「MGO」で表され、これは蜂蜜1kg中のメチルグリオキサールの量(mg)を示している。つまり、このチルグリオキサールの数値が高ければ高いほど、抗菌力も高いということになる。
一般的に、日本で「高品質」といわれるマヌカ蜂蜜はMG100+からMG250+だ。もっと高い数値のものを出すこともできるが、実はマヌカ蜂蜜はMGが高くなればなるほど、独特のクセと風味が強くなってしまう。いくら健康効果が高くても、飲みにくいので売れないのだ。
ところが、このたび山田養蜂場が同社史上最高値となる MG1200+と、MG500+の高濃度のマヌカ蜂蜜を新発売した。MG1200+は業界トップクラスの含有量だ。さぞかし飲みにくいのかと思いきや、
同社はこれを低温でまる2日ほどかけてじっくりと攪拌させ、超微粒子の気泡を蜂蜜中に含ませて結晶化、クリーム状にすることによって、自然な状態の抗菌力を維持しながらも、マイルドな味わいに仕上げることに成功したという。MG100+や250+でも十分かと思うが、高MG値も試してみたい気持ちになる。
とはいえ、マヌカ蜂蜜の方も、残念ながら新型コロナの特効薬といえるほどのエビデンスはなく、あくまで抗菌性が高く、前述の抗インフルエンザウイルス効果は確認されている、という状況だが、ポビドンヨードのように粘膜を傷つけたり、正常な細菌を殲滅してしまうような危険性もない。日々の健康維持のつもりで、身体の抗菌力や免疫力を高めることで、結果的に新型コロナウイルスにも負けない丈夫な身体を作ることにもつながるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)