外食不況。ファストフード、ファミレスは回復傾向。居酒屋は未だ4割と回復の兆し見えず

2020年08月07日 06:22

画・外食不況。ファストフード、ファミレスは回復傾向。居酒屋は未だ4割と回復の兆し見えず。

日本フードサービス協会が6月の外食産業市場動向調査。売上高の前年比78%。ファストフードは88.2%と回復傾向

 緊急事態宣言が解除されて2カ月、東京での全業種の規制解除から1カ月が経過し、制度的には国民生活は通常の状態に戻ったと言って良い。しかし、国民の新型コロナへの警戒心は強く、自粛ムードが十分払拭されたとは言いがたい。

 特に飲食業では2カ月が経過しても客足が十分戻らず苦しい経営状態が続いているようだ。東京商工リサーチの「新型コロナウイルス関連破たん状況」によれば、7月27日までに負債額1000万円以上の倒産だけでも飲食業では累計53件発生しており、業種別には最多で飲食業の深刻な状況を表している。

 27日に日本フードサービス協会が「6月の外食産業市場動向調査」の結果を公表しているが、全体として自粛解除で回復傾向の兆しもみられるが、飲酒業態を中心に依然厳しい状況にあるなど、飲食業でも業態によって大きなバラツキが見られるようだ。飲食業全体としては売上高の前年同月比が78.1%、客数が74.6%となっており7~8割り程度の回復だ。

 業種別にみると、ファストフードでは店内飲食が回復する一方、4月・5月の売り上げを支えてきたテイクアウト・デリバリー需要の一部が他業態に流れていき、ファストフード業全体の売上は前年比88.2%まで、客足は79.3%まで回復している。ただし麺類では売上が63.5%、客足が58.7%と遅れがみられる。

 ファミリーレストランは、他業態と比べれば店内飲食の戻りが早く、引き続きテイクアウトにも力を入れた結果、全体売上は73.5%、客足は70.6%まで回復している。業態によって格差もみられ、洋風では売上が67.9%、客足66.9%、和風では売上が68.2%、客足68.2%と6割台に対し、中華では売上が87.2%、客足81.1%、焼き肉が売上88.7%、客足87.5%と8~9割までの回復だ。

 最も回復が遅れているのがパブ・居酒屋などの飲酒業態で、全体で売上が39.9%、客足が41.3%と4割程度だ。パブ・ビヤホールは売り上げが34.2%、客足が36.1%と3割台だ。居酒屋でも売上高が41.5%、客足が43.2%と4割程度となっている。ディナーレストランでは売上高が57.0%、客足が56.5%と6割未満、喫茶店では売上が62.0%、客足が56.5%と6割前後の水準にとどまっている。

 業種・業態ごとの格差をみると日常的に利用する業態では回復傾向が見られるが、嗜好品やアルコール、夜の店関係は未だ人々の警戒心が強いようである。通常の水準に回復するにはしばらく時間がかかりそうだ。(編集担当:久保田雄城)