AIやビッグデータ、アナリティクス技能が普及する中、マーケティングのオートメーション化も唱えられている。この過程で機械による自動的な個人情報の収集が必須となるが、それが故に世界的に個人情報保護に関する規制は厳しくなるトレンドとなっている。
2018年にはEUでGDPR(一般データ保護規則)が施行され、米国カリフォルニア州では消費者プライバシー法が成立している。ネットには国境は無いのであるから日本企業にも無関係とは言えない。日本においても本年6月に改正個人情報保護法が公布され、今後2年以内に施行する見込みだ。現行法ではCookieの利用について規制や罰則は設けられていないようであるが、オンラインマーケティングを実施していく上でトラッキングについても対策を考えておく必要もあろう。
6日、マーケティング・ツール・プロバイダのサイカが7月にWebアンケート方式で実施した調査レポート「企業の広告宣伝担当者212人に聞いた個人情報保護の規制強化への対応実態調査 2020年版」を公表した。
レポートによれば、規制強化に関する関心度を尋ねた結果では、「強く関心を持っている」と回答した担当者の割合は65.6%と前年調査の58.1%より増加しており、担当レベルでの関心は強まっているようだ。
業務への影響について聞いた結果では、広告出稿や出稿した広告の効果測定などの業務に「現在影響が出ている」が44.2%と4割を超え、「今後影響が出る可能性がある」49.2%を加えると9割以上が業務に影響を及ぼす課題と捉えているようだ。
この約9割の担当者に対応状況を効いた結果では、「対応が全て完了している」は4.3%と5%未満にとどまっている。最も多い回答が「対応の多くが残っている」52.7%で、「全く対応できていない」23.7%と合わせると7割超えとなり、規制強化への対応の必要性を強く認識しながら実現できていない現場の空気が伝わってくる。
「対応にあたっての障害」について聞いた結果では、「人員の不足」が66.7%と約7割で前年調査の71.4%から減少したものの未だにメインの課題のようだ。次いで「資金の不足」が58.6%、「技術的な知見の不足」52.2%、「法的な知見の不足」32.3%の順となっている。前年調査と比較すると積極的に対応している様子が伝わってくるが、未だ人材不足がクリアできない深刻な課題であるようだ。(編集担当:久保田雄城)