インターネット上で収集される個人の購買履歴等、個人情報にひもづくデータは他の事業者との共用等によりマーケティング上莫大な利益を生む。この膨大な利益を情報の当事者である消費者個人にPDS(パーソナル・データ・ストア)という仕組を通じて還元しようというのが情報銀行という考え方だ。
IT・マーケティング業のインサイトテックが昨年10月、インターネット上で「情報銀行に関する実態調査」を実施、その結果を1月15日に公表している。
調査結果によれば、「自身の個人データを情報銀行に預けても良いか」という質問に対しては、「預けても良い」と答えた者の割合は55%、「預けて良いと思う情報は無い」が45%となった。男女別に見ると「預けても良い」は男性で60%、女性で54%と女性の方がわずかに慎重なようだ。
「自身の個人データで情報銀行に預けても良いと思うものは何か」という質問に対しては、「購買履歴」が32%、「趣味・嗜好情報」25%、「光熱費情報」21%が20%を超え上位となっている。
情報銀行へ自身の個人データを預けるにあたり懸念することを聞いた結果を分析したところ、「情報漏洩」、「犯罪に利用される」、「他人に知られたくない」といった意見が目だった。具体的には「情報漏洩が心配。また、どの程度の情報がどこまでの企業に提示されるのかということも知りたい」(30代女性)などとなっている。
企業が個人データを利用する場合に希望する対価については、「お金」が65%で最も多く、次いで「ポイント」が16%、商品券が11%でこの3つで9割を超えている。「情報銀行へ預けた個人データはどのようなサービスに役立つと思うか」という質問には、「自分の生活スタイルに合う品物をあらゆる視点から推薦してくれるサービス」(40代女性)などそのメリットを感じている者は多い。
国の情報通信審議会が進める政策について賛否を聞いた結果では、「賛成」が15%、「わからない」が33%、「反対」が51%と「反対」が半数超えで最も多い結果となった。レポートでは「国がデータ活用を推進する必要性を感じてはいるものの、安全性に不安を感じており、まだ十分に内容が理解されていない現状が伺える」としている。(編集担当:久保田雄城)