2020年代は自動運転のレベル2(部分的自動運転)車両の普及が予測されており、40年代にはレベル2車両が自動運転車両の主流になると見込まれている。レベル3以上(完全自動運転)の本格普及については30年代以降の見込みだ。既にレベル2車両の普及はある程度進んでいるが、今年20年は新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響により自動車市場全体が低迷しており、レベル2以上の自動運転車両の伸びも鈍化すると見込まれる。
9月1日に市場調査業の富士キメラ総研が自動運転車の世界市場の動向調査を取りまとめた「2020、自動運転・AIカー市場の将来展望」を公表している。
レポートによれば、既に普及段階にあるレベル2車両の生産台数は20年に724万台と見込まれており、新型コロナの影響による自動車市場全体の低迷を受け伸びが鈍化する模様だ。しかし、21年以降はレベル2車両を軸に大幅な伸びが予想され、25年には4766万台、30年の予測値は6037万台となっている。
レベル3以上については、自動車技術に加え関連法規やインフラ整備に未だ時間を要すると見込まれるため、当面はレベル2車両が市場をけん引すると予想されている。35年には、高機能車を含むレベル2車両が堅調な普及を見せるのに加え、高速道路限定ではあるもののレベル3車両の需要が増加するとレポートは予測している。また、レベル4・5車両もタクシーなどを皮切りに、一部市販車でも展開される予想だ。
レベル3車両は45年に4000万台を超え、高速道路のみでなく市街地走行出来る車両として普及し始めるとレポートは予測している。完全な自動運転車と言えるレベル3以上車両は欧州メーカーが普及推進に積極的に取り組んでおり、当面は欧州が市場をけん引する見込みだ。欧州や中国、北米を中心に20年代に徐々に普及が進み、30年代前半にはレベル3以上の車両は1000万台を超えるとレポートは予測している。
一方、日本は自動運転車の普及促進を目的に19年にいくつか法改正があったものの法整備の面では欧米に比べて遅れておりレベル3以上車両の市場は20年代前半まで低水準で推移すると予想される。
中国は次世代技術に対し官民共に積極的に取り組んでおり、「雄安新区」など自動運転を前提とした都市開発が行われるなど政府主導の積極的な取り組みにより45年にはレベル3以上車両の最大エリアになる見込みだ。(編集担当:久保田雄城)