次世代自動車の技術はCASEというキーワードで呼ばれている。CASEとはConnected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった用語だ。既に環境問題との関連からEV(電気自動車)が普及し始めているが、この次にくる波が自動運転車やその前提ともなるコネクテッドカーだ。
コネクテッドカーとは常時インターネットと接続された自動車のことでIoTの自動車版と言うこともでき、車同士や人、社会インフラがシームレスにつながることで安心・安全な交通社会の実現や様々な新サービスの開発が活発化すると期待されている。
9日に総合マーケティングの富士経済がハード・ソフトの両面でさらなる発展が予想されるコネクテッドカーの世界市場を調査した結果を「コネクテッドカー・V2X・自動運転関連市場の将来展望 2020」として取りまとめ公表している。
レポートによれば、2019年の市場は前年比17.7%増の3120万台と高い伸びを示している。現在、自動車関連を牽引しているのは中国であるが新型コロナウイルス感染症の影響で一過的に停滞している。しかし、中国も含め世界的にCASE関連への投資は引き続き活発であることから当該市場は今後大幅に拡大し、35年の世界市場は19年比3.0倍の9420万台が予測される。
乗用車が市場を引き続き牽引するとみられるが、乗用車の新車販売台数に占めるコネクテッドカーの比率は今後も高まり19年の34%から35年には80%に上昇する見通しだ。現在は車載セルラーを採用した車両を中心に北米や欧州が市場を牽引しているが、長期的には中国が車載セルラーとモバイル連携採用車両を順調に伸ばし世界市場を牽引するとみられる。
一方、日本では現時点で乗用車の新車販売台数におけるコネクテッドカー比率は既に75%を超えているが、新車販売台数自体の縮小が見込まれるため大幅な伸びは期待できない。しかし、日本ではモバイル連携の採用が先行しており今後車載セルラーの採用が伸びるとみられ緩やかな成長が期待される。また、車載DSRC(狭域通信)の採用も控えめながら需要の伸びが予想されている。日本はこの分野で遅れをとっていると指摘されるが国内各メーカーの努力を期待する。(編集担当:久保田雄城)