政権に不利な発言で不利な扱いの疑心暗鬼生じる

2020年10月11日 06:59

 日本学術会議が会員推薦した6人を菅義偉総理が任命拒否した理由について8日の参院内閣委員会閉会中審査でも、政府は「総理が法律に基づいて、総合的、俯瞰的に判断した」とし、国民が納得できる具体的根拠を一切示せなかった。

 立憲民主党の杉尾秀哉議員は、菅総理は「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から判断」する見識を持っているのか、と質したが、政府側は「総理の見識に答える立場にない」と答弁を回避。総理が6人を任命しない状態が続くようであれば臨時国会で直接、総理に詰問していくことが必要だ。

 杉尾議員は2016年の日本学術会議会員の補充人事でも官邸から介入があったと語っている元日本学術会議会長の大西隆氏(工学博士)の参考人招致と予算委員会の集中審議を行うよう求めた。

 任命拒否された6人は安保関連法案や特定秘密保護法、共謀罪などの問題点を指摘し、反対してきた経緯がある。このため、こうした意見発表が任命拒否につながったのではないのかと疑念が起こり、6人に対する任命拒否理由を明らかにするよう政府に説明責任を果たすよう求める世論が広がっている。

 杉尾議員は学者が政権に不利な発言をすることで研究費をカットされたり、不利な扱いを受けるのではないか疑心暗鬼を生み、結果的に「学問の自由」が侵害されると総理の任命拒否を改めるよう求めた。(編集担当:森高龍二)