日本学術会議の会員任命を巡り、菅義偉総理は9日、内閣記者会のインタビューを受ける形で、学術会議が総会承認を経て推薦した会員候補の中に、自身が決裁した9月28日には任命しなかった6人の名前はすでになく、リストの人数は105人でなく「99人だった」と説明した。
菅総理は日本学術会議の推薦者名簿は「見ていない」とも述べた。誰が105人の推薦メンバーから、どういう経緯で、何のために削除したのか、総理発言が事実なら、その経緯を徹底解明する必要がでてきた。誰の指示で、誰が、いつ、どの段階で総理決裁リストから6人を排除したのか。任命権者の総理にも見せていないとすれば、別問題も生じてくる。
一方で、菅総理は「任命手続きはすでに終了した」とし、今回、任命から外された6人に対し、新たに任命することはしない考えを述べた。事実上、安保法制、共謀罪、特定秘密保護法について問題点を指摘した学者らが外される結果になっている。明らかに政治的意図が透けて見える格好だ。
また現況では「学者が政権に不利な発言をすることで研究費をカットされたり、不利な扱いを受けるのではないかとの疑心暗鬼を生み、結果的に『学問の自由』が侵害される」(立憲民主党・杉尾秀哉参議院議員、8日参院内閣委員会・閉会中審査で)。
なぜ、6人が総理決裁時に除外されていたのか、政府側が国民に対し合理的根拠を示すことができないなら、菅総理は6人を追加任命することが求められるだろう。
日本学術会議の改革問題とは全く別次元。「行革問題」ではなく憲法が保障する『学問の自由』の問題。6人の任命まで国民も野党も追及を続ける必要がある。
日本学術会議元会長の大西隆氏は「選考基準と違う基準を適用して任命拒否したとなれば、日本学術会議法違反になる」と法律違反になることを野党会合で指摘している。閉会中審査や国会での徹底追及が求められよう。(編集担当:森高龍二)