デジタル社会や脱炭素社会に意欲、経団連と一体

2020年10月28日 06:17

菅義偉総理は26日の所信表明演説でデジタル社会や脱炭素社会実現に強い意欲を示した。「今後5年で自治体のシステム統一・標準化を図る。マイナンバーは今後2年半でほぼ全国民に行き渡ることをめざす」などとし、司令塔に「デジタル庁を設置する」と述べた。

 また脱炭素社会に向け「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現をめざすことを、ここに宣言する」と語った。そのうえで「積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要。カギになるのは次世代型太陽電池、カーボンリサイクルをはじめとした革新的なイノベーションであり、実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進する」と演説した。また「世界のクリーン産業をけん引し、経済と環境の好循環を作り出す」と表明した。

 日本経済団体連合会とは脱炭素社会の実現、デジタル社会の実現ではすでに担当大臣との間で意思疎通ができていることから、中西宏明経団連会長は26日、菅総理の所信表明を「高く評価する」とした。

 中西会長は「2050年カーボンニュートラルは達成が極めて困難な挑戦であり、経済成長との両立を図るうえでは、革新的技術の開発・普及、イノベーションが不可欠。これは日本の産業競争力の強化にもつながる」と述べ「脱炭素社会への移行に資するイノベーションの創出を国家戦略と位置付け、官民一体となって大胆な取り組みを一段と強化・加速していくことが極めて重要」とコメントした。

 経団連は政府との一体化した取り組みのなかで来年度税制改正に「研究開発税制の延長・拡充をすべき」とし「総額型について控除上限を法人税額の25%から30%への引き上げ、クラウドサービス等を念頭に自社利用ソフトウエアにかかる試験研究費の研究開発税制の対象化等を講じるべき。設備投資・デジタルトランスフォーメーション(DX)減税として、幅広い業種によるDXに資するソフトウエア等の利用および機械、装置等を含めた投資を税制上強力に後押しすべき」と要するに、一層の税優遇を求めている。(編集担当:森高龍二)