コロナ・リストラ再加速。既に昨年の2倍超。赤字リストラが増加。外食で急増

2020年11月10日 06:08

画・コロナ・リストラ再加速。既に昨年の2倍超。赤字リストラが増加。外食で急増。

東京商工リサーチが上場企業の早期・希望退職者募集を調査。10月29日までに72社。昨年通年35社の2倍以上と急増

 新型コロナ感染症は夏以降、落ち着きを見せている。しかし、陽性判明者は全国で毎日500~800人程度確認されており、いわゆる「下げ止まり」の状態が続いている。冬に向け何時感染拡大が起こるか分からない状況だ。人々の自粛ムードも十分払拭されたとは言えず、経済に与える影響も多大なものがある。新型コロナ関連倒産も増大の一途で、コロナ関連リストラも加速度を増しているようだ。

 先月30日に東京商工リサーチが10月29日までの上場企業の「早期・希望退職」募集の実施状況を調査した結果レポートを公表している。これによれば2020年10月29日までに早期・希望退職者募集を実施した上場企業は72社で、昨年19年通年の35社の2倍以上となっている。人員は判明分だけで1万4095人、19年通年の1万1351人をすでに上回っている。新型コロナの影響で大打撃を受けた繊維・アパレル関連に加え、このところ外食で急増しはじめ、業種間での格差が広がっている模様だ。また、赤字転落から人員削減に動いた企業は全体の75.0%を占める54社で、「赤字リストラ」が再び増加傾向のようだ。

 募集が判明した72社のうち、間接的なものも含め新型コロナの影響を要因として挙げた企業は29社、全体の40.3%にまで達している。業種別にみると、やはりアパレル・繊維製品と外食が各6社で最多となっており、次いで電気機器とサービスが各5社、輸送用機器3社、小売2社の順となっている。アパレル、外食に加え、自動車の販売不振による関連部品メーカー、市況変動で経営計画の見直しなどを迫られた電気機器・輸送用機器など新型コロナの長期的な影響が目立ち始めている。

 募集人員規模別にみると、1000人以上の大型募集は2社にとどまり、300人以下は66.6%に当たる48社、100人以下は30社で41.6%を占め、事業所や部門単位など比較的小規模の実施が目立っている。近年は、社員の年齢構成の是正を目的に45歳、50歳以上など対象年齢を定めた募集が目立ったが、今回は対象年齢や社歴に関係なく応募者を募る早期・希望退職も目立っている。切羽詰まった経営状況がうかがえる。

 新型コロナの状況は依然先行き不透明である。こうした状況は長期化すると見込まれ、レポートは「上場企業の早期・希望退職者募集は2021年も高い水準で推移するものとみられる」としている。(編集担当:久保田雄城)