大阪地裁の森鍵一裁判長は22日、厚労大臣が2013年から15年にかけて生活保護基準を減額改定したのは「裁量権の範囲を逸脱、または裁量権の濫用がある」として「違法」との判決を下した。
この裁判は生活保護利用の42人が2013年から3回に分けて行われた生活保護基準の見直しを理由とする「生活保護基準引下げ」の取消等を求めて、国などを相手に訴えていたもの。
生活保護基準引下げ違憲訴訟大阪原告団らは22日「原告らの置かれた厳しい生活実態を真摯に受け止め、国が行った生活保護基準引下げを問題とし、裁量逸脱を認めた。健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を具体的に保障する歴史的な勝訴判決」と評するコメントを発表した。
また「生活保護基準は他の諸制度や諸施策と法律上、事実上連動し、ナショナルミニマム(国民的最低限)として市民生活全般に重大な影響を及ぼす。特に新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化し、菅首相が国会で『最後は生活保護がある』と答弁するなど生活保護が果たすべき役割の重要性が再認識されつつある中、このような判決が言い渡されたことの意義は大きい」とするとともに「国は控訴せずに判決を確定させ、違法に保護費を下げられた生活保護利用者に対して真摯に謝罪し、その健康で文化的な生活を保障するため、2013年引下げ前の生活保護基準に直ちに戻すことを求める」としている。
判決は今回の引下げの名目とされた「デフレ調整」「ゆがみ調整」のうち「デフレ調整」について特異な物価上昇が起こった2008年を起点に取り上げて物価の下落を考慮した点など、裁量権を逸脱または濫用するものと指摘している。(編集担当:森高龍二)