総理の「生活保護」答弁に批判相次ぐ

2021年01月29日 06:21

 菅義偉総理が27日の参院予算委員会で、コロナ禍で生活困窮に陥っている人々を救う対応を問われ「最終的に生活保護という仕組みも」などと答弁したことに、野党だけでなく、SNS上でも批判が相次いでいる。

 菅総理はこの日の答弁で持続化給付金についても「昨年度の持続化給付金というのは現在考えておりません」。10万円の再給付も「昨年のように特別給付金を再び支給することは考えておりません」と答弁。

 明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科の岡部卓専任教授はSNSで、生活保護の総理答弁を報じたロイター通信の記事に「国民・住民の生活保障は最後のセーフティネットである生活保護制度の利用をする前に、一般国民・住民の生活リスクに対応するセーフティネットをどれだけ張られているかが重要となる」と指摘。

 そのうえで「雇用対策や住宅対策はいうまでもなく、第一のセーフティネットである社会保険制度、第二のセーフティネットである低所得者対策がどれだけ機能するか、である」とし「災害というリスクにおいては災害法制をはじめこの第一のセーフティネット、第二のセーフティネットが機能し、国民・住民の生活を守る。新型コロナも災害であり、生活保護制度を利用すればよいということではない。生活保護制度は国民の権利であり利用することも一つの方法ではあるが、資力調査があり、ハードルは高い。生活保護制度の手前にある定額給付金をはじめ新型コロナに対する各種対策を強化し国民・住民の雇用や生活を守ることに政府は全力で取り組むことが大切である」と酷評した。

 ハードルの高さに関してはSNS上に「バイク、車、家、貯金、全部なく。保護してもらえる親族がいないとか、ハードル高すぎるやん、世間の目もあるし。生活保護者の社会復帰も難しいし。僕の方がいい政治できる気がする」との書き込みもある。

 立憲民主党の蓮舫参院議員は27日の参院予算委員会で同僚議員の質問に対しての総理の「生活保護」答弁を取り上げ「生活保護に陥らせないためにするのが総理の仕事じゃないですか。一度決めた政策は絶対に動かさないのではなく、柔軟に持続化給付金も考える。それが総理の判断ではないでしょうか」と再考を求めたが、菅総理は改めなかった。

 立憲民主党の小沢一郎元自民党幹事長は「最終的には生活保護がある。さすが『自助が第一、国はどうしても必要なとき、最後に出ていく』という思想の持ち主。生活保護を受けるハードルを理解して言っているのか。もはや困窮者支援をするつもりはないと自白しているようなもの。この発想では命も暮らしも救えない」とバッサリ。政治を変える必要をアピールした。(編集担当:森高龍二)