三菱マテリアルが薄膜Si太陽電池向け電極用インクを開発

2011年11月25日 11:00

 三菱マテリアルは、薄膜Si太陽電池に塗布することで、従来の真空成膜と同程度の変換効率が得られるナノサイズ粒子を分散した電極用インクとして、Agナノインク、ITO(インジウム スズ 酸化物)ナノインク、シリカインクを開発した。

 今回、同社が開発した電極用インクは、今後の活用が期待される薄膜Si太陽電池のSi層に塗布することで、裏面電極とよばれる厚さサブミクロンオーダーの薄膜を形成することができる。このように製造された薄膜Si太陽電池は、厚さがミクロンオーダーのSi、Ag、SnO2等の積層体であり、現在主流のSi結晶型太陽電池と比べ、(1)Si使用量を1/100程度に削減することができる、(2)エネルギーペイバックタイム(発電設備の製造に用いたエネルギーと同量のエネルギーを、その設備の発電によって作り出すのに要する運転期間)が短い、(3)化合物半導体型薄膜太陽電池と比べテルルなどの原料使用量の制約を受けない、などの利点がある。

 一方、太陽電池メーカーにとっての課題は、多数の真空成膜装置を導入する初期投資コストが大きい点であり、塗布成膜プロセスへの置換えによる大幅なコストダウンが望まれている。

 今回、同社が開発した電極用インクを用いることで、太陽電池メーカーにとっては更なる低コスト化が進み、今後拡大が予想されるメガソーラー(1MWクラスの太陽光発電設備)需要への貢献が期待される。

 また、この電極用インクは、大日本スクリーン製造が開発したリニアコータRを用いて、1.4m x 1.1mサイズの大型ガラスに、安定して成膜することが可能。同件については、大日本スクリーン製造より、11月28日から11月30日に上海で開催される太陽電池に関する技術セミナー及び展示会であるPV China 2011にて発表する予定だという。

 三菱マテリアルでは、現在電極用インクを太陽電池をはじめ、LED、有機EL、機能フィルムなどの様々な分野へ展開するための開発を進めるとともに、今後も太陽電池をはじめとするエネルギー・情報エレクトロニクス関連製品・部材を製造するための塗布・印刷材料の開発・製造・販売に努めていく。