災害はいつ何時、起こるか予測ができない。今は世界中の関心がコロナ禍に向いているが、そんな時でも、災害が発生してしまう可能性は少しも変わらないのだ。
2021年2月13日、10年前の東日本大震災の余震とみられるマグニチュード(M)7.3の地震が福島県沖で発生し、肝を冷やした人も多いだろう。だが、決して今回だけのことではない。気象庁によると東日本大震災の余震とみられる震度1以上の有感地震は、2月11日までの時点で1万4590回にも上っており、政府の地震調査委員会でも、少なくとも今後10年にわたって大規模な余震が発生する状況が続くとみて、警戒を呼びかけている。
もちろん、災害は地震だけではない。日本は地理的な条件や地域的な環境などから、地震の他にも台風や大雨、津波、河川の氾濫や浸水などに直面する機会も多い。人の力で自然災害を止めることはできないが、被害を最小限に留めることはできる。よく、天災は忘れた頃にやってくるといわれるが、災害への対策は忘れることなく、日ごろから充分に備えておきたいものだ。
そんな中、事業の特性を活かした防災サービスを提供している企業も増えている。
例えば、住宅メーカー大手の積水ハウスでは、「グリーンファースト ゼロ+R(レジリエンス)」で建物自体の堅牢さに加えて、災害後の早期復旧と支援体制にも力を入れている。災害に耐えられる建物自体の頑丈さと、被災後でも太陽電池、燃料電池、蓄電池の3電池連携システムで、停電してもエネルギーを確保できる。同社ではいざ災害が起きた際には、図面や訪問履歴、被害状況の写真などを一元管理する積水ハウスオリジナルの社内ツール「災害訪問アプリ」を駆使して、顧客の安否や被災状況をマップ上で瞬時に確認、把握、共有することで顧客の安全確保を遂行するほか、全国の工場を地域復旧支援の拠点とするなどの対策を講じている。実際に、東日本大震災時には発生からわずか3時間後には支援物資の輸送を開始したり、2019年に千葉県南部を襲った台風15号発生時には、発生から約3日程度で被災エリア全顧客の被害状況の確認と、被災した約300棟の初期対応を完了している。
また、安全靴やヘルメット等の安全衛生保護具メーカーであるミドリ安全も、企業の防災に力を入れている。同社では、BCPの導入や企業内での災害用品の備蓄、家具や什器の対策、設備の移動・ズレ対策を軸に企業防災を呼びかけ、企業の状況に沿った最適な防災用品の提案を行うとともに、防災用品の保管期限などの管理サービスも提供しており、非常に心強い。
警備会社老舗のセコムも、主力のセキュリティ事業だけでなく、近年は防災事業でも知られており、特に国内の法人向け安否確認サービスの中では「セコム安否確認サービス」がナンバー1の導入実績を誇る。同社がセキュリティ事業で培った緊急時対応の経験とノウハウが活かされた基本機能に加え、きめ細やかなオプションサービスも揃っており、企業の防災対策としては非常に有効だと評判だ。
折しも、2021年3月11日は、東日本大震災の発生から、ちょうど10年の節目を迎える。今一度、家庭内、企業内の防災を見直してみてはいかがだろうか。(編集担当:藤原伊織)