7月23日の開幕を目前に控えた東京五輪。焦点となっていた観客について、大会組織委員会は8日、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の会場において催される競技はすべて無観客で行うことを決定した。これまでコロナ禍の中で準備を進めてきた関係者や、億単位の投資を行っているスポンサー各社からは落胆する声も上がっている。
例えば、東京五輪の公式スキンケアブランドである「SK―Ⅱ」を展開する米P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)は9日、大会に合わせて建設した同ブランドパビリオンの一般公開を中止すると発表。また、7月1日にはNTT<9432 >、NTTドコモ、インテルらが共同で5G移動通信システムを活用した画期的な感染スタイルを発表したばかりだが、無観客となればこちらも断念せざるを得ないだろう。同社らは、大会期間中、3つの競技会場で最新技術を使った観戦プロジェクトを計画。スマートフォンやARゴーグルなどを使った新しい観戦スタイルの提案や、これまで防波堤から双眼鏡などで観戦するしかなかったセーリング競技では、NTTが開発に取り組んできた超ワイド映像合成技術「Kirari!」を導入し、洋上に設置した50m級のワイドビジョンに映し出すことで、観戦を盛り上げる計画などを準備していた。
有観客にするのか無観客にするのかの議論は、ここ数週間で何度も二転三転していた。新型コロナの感染拡大リスクが解決していない中、五輪の開催自体にも否定的な意見も根強く残っている。そして、決定的となったのが、4度目の緊急事態宣言が東京都に発出されたことだ。政府は、新型コロナウイルスの感染が再拡大している状況を受け、7月12日から8月22日までの期間で緊急事態宣言を発出した。飲食店を中心に営業時間の短縮や自粛、酒類の提供をやめることなどを要請している手前、スポーツの祭典に観客を動員して盛り上がるわけにはいかない。何をおいても最優先すべきは国民の命だ。
それに加えて、ワクチン不足などで国民に不安が広がっている今、無観客での開催は当然の配慮ともいえるだろう。今、日本が官民協力して全力で取り組むべきは平和の祭典・東京五輪ではなく、コロナ禍を一日も早く終息に向かわせることだ。
しかし、コロナ禍の切り札とされているワクチン接種も、副反応が辛いという噂も広まっており、権利はあっても、接種を躊躇している人も多いようだ。実際のところはどうなのだろうか。これについて、住宅メーカーのアキュラホームが大変貴重で参考になるデータを公表している。
アキュラホームは新型コロナウイルスの感染拡大が始まった当初から、リモートワークの導入や無人の住宅展示場、ロボットによる接客等、徹底した感染防止対策に取り組んでいる企業として知られている。ワクチン接種に関しても、いち早く職域接種の申請を行い、7月5日までに東京と大阪で約6500人の接種を完了。さらに同社は接種した全員に対してアンケートを実施し、5000人以上から回答を得ており、その結果をまとめて発表している。
アンケート結果によると、ワクチン職域接種については97%の人が「安心して受けられた」と回答。また今回の職域接種については99.9%の人が「とても良い」「良い」という結果となっている。
気になる副反応については72%が「あった」と回答。具体的には、「腕の痛み・腫れ」が最も多く、次いで「筋肉の痛み」、「倦怠感」、「37.5度~38.9度の発熱」などが報告されている。また、これらの副反応については、接種当日に発現した人が48%、翌日に発現した人が46%と、ほとんどの副反応が翌日までに出るケースが多く、「発生後1日で治った」が23%、「2日で治った」が46%、「3日で治った」が31%という結果となっている。副反応を男女別に見てみると、男性は全体の65%、女性は81%と、女性の副反応が圧倒的に多くでていることが分かった。副反応についての年代別調査では、30代がの78%で最も多く、20代が75%、10代、40代が70%という結果となっている。さらに詳しい結果は、アキュラホームが公表していくれているので参考にしてみるといいだろう。ただし、あくまでもアンケートの回答は個人の判断によるものではなく、医療診断の結果や科学的な根拠に基づくものではないことだけは注意してほしい。
五輪の招致が決まった2013年9月、世界がこんな状況に陥っていると誰が予想できただろうか。コロナ禍や五輪開催に対する政府の対応の遅さなどを指摘し、非難する声もあるが、未曽有の事態なので、致し方ない部分も多い。批判をする前に、アキュラホームのように、まだまだ企業や個人でもやれることは残っているのではないだろうか。東京五輪は海外からの来客もないうえに、無観客で寂しい大会になってしまうかもしれないが、その代わりにコロナウイルスを全力で抑え込み、コロナ後に笑顔で世界の人々に「おもてなし」ができるよう、この局面を乗り切りたいものだ。(編集担当:藤原伊織)