学校連携観戦に疑問「参加記憶しか残らない」

2021年08月31日 06:48

 明治大学の岡部卓教授は29日、東京パラリンピックの学校連携観戦による教育効果について「それぞれの学校現場や地域社会で日頃から障害者への理解や交流等を図っていかなければ、それは国家的行事に参加した記憶としてしか残らない」と疑問を呈した。

 岡部氏は「障害者への理解は知識提供や表面的な啓発活動等では進まない」と指摘し「日頃から障害者との交流、障害者自身の話を聴く機会、体験学習等を行っていく必要がある」とした。

 岡部氏は先天性心疾患がある少年が東京パラの学校連携観戦に関して開幕前日に「誰と交流するかは自分で決めるし、僕は触れ合い移動動物園じゃない」とツイッター発信したことを伝える朝日新聞記事に反応して、ツイッターに投稿した。

 記事によると、この少年は過去に地域の小学校校長から「君がうちの生徒と交流してくれたら、学ぶことがたくさんあるんだよ。触れ合いを大切にしたいので、是非、また来てください」と言われたことを紹介し、「触れ合い移動動物園みたいじゃないか」と感じたとしている。

 そのうえで「話す機会が必要と感じるなら、なぜ、幼稚園から健常者と障害者を分けた場所で教育するんですか?大人の都合で分断しておいて、話す機会が必要とか、意味わからない」とつぶやいていた。

 この少年のつぶやきに、岡部氏は「障害者である前に1人の人間として、障害の有無により教育やオリンピック等を分けることの是非、また十分な理解のないまま『保護される存在』などとみる社会の見方に一石を投じている、ととらえることができるのではないか」と日常的な交流の重要さを発信した。(編集担当:森高龍二)