政府は国家安全保障戦略の改定時期を参院選後の来年末にする方向で調整との報道が一部で流れている。安全保障戦略で防衛費の枠組みを「GDP(国内総生産)の2%」に引き上げるべきとの考えや高市早苗自民政調会長ら党内タカ派が首長する「敵基地攻撃能力」の保有は必要との考えに同調色を強める岸田文雄総理は、公明党に配慮し、来夏の参院選挙後に改定する意向を示しているものと推察される。
高市政調会長は「迅速に敵基地を無力化することができた国が自国を守ることができる」と述べ、敵基地攻撃能力を保有することを是とする姿勢を強く示した。また「防衛関連研究費は非常に少ない」と防衛関連経費の増額を図る考えも鮮明にしていた。
高市政調会長は「衛星破壊や海底ケーブル破壊。変電所をサイバー攻撃されブラックアウト(全域停電)が起きれば防衛はできない。衛星と海底ケーブル防御について集中的に研究、実行する」とも強調している。このため防衛費に関しても「GDPの2%以上」などと安倍政権以降、過去最大を更新し続ける防衛費に歯止めがまったくかからない状況が続いている。
高市政調会長が強調する敵基地のミサイル拠点を無力化する能力保有で、敵基地を攻撃するような事態になれば、国際社会からは日本が『先制攻撃』を行ったとみなされる可能性も否定できない。平和憲法の精神・趣旨に照らしても与野党含め慎重な議論が求められる。当然、国民の理解が得られなければならない。(編集担当:森高龍二)