協和発酵キリンと富士フイルム、バイオシミラー医薬品の合弁会社設立

2011年11月17日 11:00

 現在、医薬品市場において、化学合成では達成できない薬理作用がある複雑な構造を持ったタンパク質などの生体分子を活用した、副作用が少なく高い効能が期待できるバイオ医薬品の比率が高まっている。このバイオシミラー医薬品は、先行バイオ医薬品と同等・同質の効果を持つ医薬品として、それらの特許満了後に、異なる製造販売業者より販売。今後、バイオシミラー医薬品市場は、医療費の高騰問題や2020年にかけて先行バイオ医薬品が特許満了を迎えることを背景に、世界的に拡大していくと予想されているが、バイオシミラー医薬品の普及拡大には、先行バイオ医薬品と同等の高信頼性・高品質と、コストの低減が求められている。

 そのような中、富士フイルムと協和発酵キリンは、2012年春を目処に両社折半出資によるバイオシミラー医薬品の開発・製造の合弁会社を設立する。新会社は、高い成長が見込まれるバイオシミラー医薬品市場において、高信頼性・高品質で競争力のある製品を開発・製造していく。

 新会社では、富士フイルムが長年写真フィルムなどの事業で培った高度な生産技術や品質管理技術、解析技術と、協和発酵キリンがバイオ医薬品の研究・開発・製造で蓄積してきた独自技術・ノウハウを融合させて、バイオシミラー医薬品の画期的な生産プロセスの創出やコスト低減を実施。また、開発のスピードも重視し、2013年を目標に最初の候補品の臨床試験を開始できるように取り組んでいく。これらにより、高信頼性・高品質でコスト競争力にも優れたバイオシミラー医薬品を開発・製造し、適切なタイミングで市場に導入することで、主導的ポジションの獲得を目指す。

 富士フイルムは現在、医薬品事業を重点・成長分野として位置付け、事業展開を行っている。中でもバイオ医薬品分野においては、「ペルセウスプロテオミクス」によるバイオ新薬の開発や「FUJIFILM Diosynth Biotechnologies(英・米)」によるバイオ医薬品受託製造を通じて取り組みを加速。今後、合弁会社を加えて、バイオ医薬品事業の基盤をさらに強化し、先端的な独自技術とリソースを活かして、人々の健康の維持・回復や解決されていない病気の治療に貢献する医薬品を提供していく。

 一方協和発酵キリンは、バイオテクノロジーを主要技術とした新薬の創出を実施。合弁会社において、富士フイルムの技術との融合という新たなビジネスモデルを展開するとともに、合弁会社で開発した革新的な生産技術を自社の抗体医薬をはじめとした新薬の生産にも活用することで、より高品質な医薬品の製造コストのさらなる低減に取り組んでいる。協和発酵キリンは今後も、がん、腎、免疫疾患を中心に画期的な新薬を創出することにより、人々の健康と豊かさに貢献していく。