全日本トライアル選手権シリーズ最終戦、黒山健一選手が1位となりシリーズチャンピオンに決定した。同選手の全日本チャンピオン獲得は通算10回目。財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)の統括競技における史上最多記録となる。
全日本トライアル選手権シリーズ最終戦、国際A級スーパークラスにおいて「チーム・黒山レーシング・ヤマハ」の黒山健一選手が1位となり2011年のシリーズチャンピオンを決定した。
黒山選手の全日本チャンピオン獲得は、1996年から数えて通算10回目(国際A級1回/国際A級スーパークラス9回)。これは全日本モトクロス選手権で史上最多9回のチャンピオンに輝いた東福寺保雄選手の記録を上回り、財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)の統括競技における史上最多記録となる。
全日本トライアル選手権とは、セクションと呼ばれる地形を生かしたコースを走破するトライアル競技の国内最高峰シリーズ。減点を受けずに難所や障害物をできるだけクリアすることが目的で、減点総計が少ない選手が勝者となる。日本チャンピオンは各レースでの獲得ポイントに基づく年間トータルの順位で決定するが、年間9大会が実施される。
黒山選手は、1993年に国内トライアルデビュー、この年トライアルグランドチャンピオン大会(国内A級クラス)で優勝すると、シーズン終了後に2段階特別昇格が認められ、最高ライセンスの国際A級へステップアップ。1994年に全日本選手権の国際A級クラスにデビューしている。1997年には新設された国内最高峰となる国際A級スーパークラスに参戦し連続チャンピオンに君臨。この頃から世界選手権に活動の軸を移し、1997年と1998年には2年連続で世界ランキング3位を獲得。しかしその間も全日本選手権への参戦は継続し2002年から2005年で4連覇を達成した。2006年は11年間に及ぶ世界選手権フル参戦を終え、再び全日本選手権を中心に参戦。ヤマハエンジン搭載のスコルパを駆り5連覇で自身7度目の全日本チャンピオンを獲得。2007年、2010年はランキング2位に甘んじたが、2008年、2009年もチャンピオンを獲得、そして今回のタイトル獲得で通算10度目のチャンピオン奪取となった。
今大会を終え黒山健一選手は「今年は地震の影響で2戦中止になり少ない試合数でしたけれども、シリーズ全5戦中4戦を勝つことができて非常に満足して今シーズンを終えることができました。また去年は負けているので、チャンピオンを取り返すことができてとてもうれしいです。今回で10回目のチャンピオンとなりましたが、これが僕の最終的な到達点ではないので、あと何年続けられるかわかりませんが、できるかぎりずっとチャンピオンを取り続けて記録をどんどん伸ばしていきたいと思います。これからも皆さんの応援をしっかりと受け止めて、それに応えられる走りをして毎年笑顔でシーズンを終えたいと思いますので、応援よろしくお願いいたします」と語る。
また、ヤマハ発動機の中島雅彦部長は「史上最多となる通算10度目のチャンピオン、本当におめでとうございます。この記録達成は、黒山選手がプロフェッショナルとして、常に最高を追い求めてきた結果だと思います。また、監督である黒山一郎さん、メカニック兼アシスタントの黒山二郎さん、お二人との強い絆のお陰でもあるのではないでしょうか。黒山選手は、世界選手権と全日本選手権に並行して参戦した時期がありました。2006年以降は全日本を軸に活動していますが、現在も日本での世界選手権にスポット参戦し上位入賞も果たしています。これは、黒山選手が常に世界を意識したトレーニングを続けている成果であると思います。こうした強い気持ちと努力もまた、日本のトップに立ち続けて記録を達成する原動力となったのだと感じています」と語る。
黒山選手は現在、国内外でのトライアルデモンストレーションなどモータースポーツの普及活動にも積極的に取り組んでおり、大車輪の活躍を見せている。2006年以降、ヤマハ発動機もパートナーとして様々な活動に参戦。「今後も、記録の更新など業界にさらなる刺激を与えてくれることを楽しみにしています」と中島部長は黒山選手のさらなる飛躍を期待している。