厚労省の集計では今年9月現在で100歳以上となる者の数は8万6510人で、うち男性は1万60人となり、初めて1万人を超えた。7月に発表された2020年の平均寿命は男性81.6歳、女性87.7歳で過去最高を更新している。人生100年時代と言われ日本人の老後は長くなったが、老後が長くなった分老後資金もより多く必要になり、また、より幸福な老後を過ごすためには健康寿命を延ばさなければならず、むしろ老後の資金や健康の不安が高まっているようだ。
料理雑誌を出版しているオレンジページが9月下旬に20歳以上の自社会員1439名を対象に「人生100年時代」に対する思いやイメージについてインターネット調査を実施、その結果を12月7日に公表している。「100歳まで長生きしたいと思うか」という質問に対しては、「そう思う」と答えた者の割合は5.6%、「ややそう思う」が7.6%、両者を合わせて「100歳まで長生きしたいと思う」者は13.2%にとどまった。一方、「あまりそう思わない」は27.6%、「そう思わない」37.7%で、両者を合わせると65.3%が「100歳まで長生きしたいと思わない」と圧倒的多数派になっている。これらの数字は前回17年調査の数字と比べ大きな変化はない。
長生きしたくない理由を自由回答でみると、「100歳まで健康で長生きできると思っていないから」(20代・専業主婦)、「あまり長生きしても、家族に迷惑をかけそう」(40代・パート)、「お金に不安があるから」(40代・専業主婦)などとなっており、長生きすることより老後資金や健康状態の不安のほうが大きくなっているようだ。
「100歳まで生きることに対する不安」について聞いた結果では、「老化で判断力や記憶力がなくなる」75.5%、「歩いたり、動いたりしにくくなる」71.6%、「生活が自分ではできなくなる」68.1%など健康に関する不安が並んでいる。前回調査と比較すると軒並み5~8ポイント増えているが、「お金が不足する」54.5%は前回調査の53.7%とあまり変化がなく、健康面の不安がより強くなっているようだ。「コロナ禍で健康意識は変化したか」という問いには、「とても変わった」17.2%と「変わった」42.5%の合計は59.7%と6割近くになっており、レポートでは「コロナ禍をきっかけに老後の健康不安をより強く感じるようになった人が少なくないことが推測される」としている。(編集担当:久保田雄城)