2022年1月7日に全体のデザインが公表となる新型「HONDA STEP WGN」。サイドビューは2代目をストレッチした長いボディに見える。パワーユニットは2リッター「e:HEV(ハイブリッド)」、「AIR」と「SPADA」のテイストの違うふたつのシリーズを設定
ここまで「Automobile Forecast 2022」とテーマを絞って検証した大きく「0-3」の4項目は、いずれも「クルマの電動化」にまつわる課題や問題点、いくつかの明るい見通しだ。
そこで今回は「世界のトレンド“電動化”」から離れて、日本の自動車「その“売れ筋と2022年”の傾向」について、いま掴んでいる情報をまとめた。。
ここに日本の新車通称名・販売台数(日本自動車販売協会連合会発表:2021年4月?11月実績)の抜粋がある。いわゆる日本国内で“売れ筋”のクルマたちの数字だ。中古車マーケットでも、取り上げたのは、もてはやされている7?8名乗車のミニバンである。このなかで、いちばん大きく豪華で、抜群の引き合いがあり、乗り出し価格が軽く500万円を超えるトヨタ・アルファードとベルファイア兄弟(計6万5588台)は別格としても、これらを含めミッドサイズ以上のミニバンが8カ月で19万7320台の販売をマークする。
■2021年4-9月(10+11月)MINI VAN新車販売台数
・ホンダ・ステップWGN 16877台(3126台+2916台)=22919台
・日産セレナ 27531台(3978台+3219台)=34728台
・トヨタ・ヴォクシー 31065台(2637台+6711台))=40413台
・トヨタ・ノア 20578台(1970台+3888台)=26436台
・トヨタ・エスクァイア 5226台(428台+1587台)=7241台
・トヨタ・アルファード 45565台(4588台+5423台)=62817台
・トヨタ・ベルファイア 2771台 =2771台
Total:19万7320台
つまりホンダ・STEP WGN、日産セレナ、トヨタのヴォクシー、ノア、エスクァイア軍団、そしてアルファード兄弟を含め国産7車種で、実に国内自動車新車販売の5%に達する。ここにホンダ・フリードなどの比較的小さなショートサイズMINI VANと軽のスーパートール系ワゴンを加えると、軽く10%を超え、日本の自動車市場の特異性が浮き彫りになる。
そんなMINI VANが2022年に、前記ほとんどの車種がフルモデルチェンジして覇権を競うようなのだ。
2021年12月、機先を制したのは、トヨタのノア&ヴォクシー軍団だ。2021年12月から販売店で予約を受け付けており、1月13日の正式発売前に受注が山積しているという噂も──。車種はヴォクシーとノアの2モデル、エスクァイアは消える。
これまでノアの標準ボディ車の車幅は1695mmの5ナンバー規制値に収まっていたが、新型は全車幅の広い3ナンバー車となる。ボディタイプはエアロと標準の2種で、ヴォクシーは絞り込まれてスポーティなエアロタイプのみ。8名乗車仕様が数多くラインアップするのが大きな特徴といえる。
パワーユニットは2リッターNAガソリンと1.8リッター+モーターのハイブリッド(HV)。なお、HVにも後輪側をモーターが駆動する待望の4WDが設定となる模様だ。価格はベーシックなノアのFF車が267.0万円で、トヨタのミッドサイズ・ミニバンのボトムエンドを担う。
ホンダも12月、かつての5ナンバーミニバンのベストセラー、「STEP WGN」(ステップワゴン)新型モデルのティザーキャンペーンを開始した。デザインは2022年1月7日に公開するという。
STEP WGNはライバルの日産セレナやトヨタ・ヴォクシー兄弟車の強力なライバルだ。年間5万台ほどの登録があり、近年の月毎の販売台数でも5000台に迫ることもあった人気者だ。注目はボディサイズ。ライバルが車幅を拡大、1700mm超になるなか、ホンダは全長こそ4700mmを超えるが、全幅は日本の交通インフラを考慮した1695mmを堅持してきた。キャッチコピーの「新しい大きさ」とは──何だ!。
そのホンダが、新型「STEP WGN」に関する情報をホームページで先行公開を開始した。新型STEP WGNの発表・発売は、2022年5月を予定しているが、ジャパン・プレミアイベントを年明け早々の2022年1月7日にオンラインで開催すると発表。
公開された資料によると、新型ステップワゴンには2リッター「e:HEV(ハイブリッド)」を採用、「AIR」と「SPADA」のテイストの違うふたつのシリーズが設定される。
強力なライバルを迎え撃つ立場の日産セレナは9月にフルモデルチェンジを敢行する構えだ。競合車を睨んで3ナンバーボディに拡大するのは必至。高効率1.2リッターエンジンが発電に徹する独自のシリーズ型ハイブリッドシステム「e-POWER」をキャリーオーバーするが、電池容量アップとモーター出力増で走りを追求する。2リッターのマイルドハイブリッドもライアップするはずだ。
消滅したはずのMINI VANの名車が復活するか? トヨタ・エスティマである。“天才たまご”のキャッチで1989年にデビューした名車である。2019年10月にトヨタ車のラインアップから消滅している。トヨタのミニバンはアルファードを頂点に盤石の体制を築いているが、独走的なエスティマは旧車人気も高く、復活を期待する声も少なくない。
一時はFCVとして復帰する噂も聞こえたが、ここに来てBEV(バッテリー駆動EV)として復活するという情報が流れた。
使われるプラットフォームは、ホイールベースの長さ、駆動方式、バッテリーサイズの設計がフレキシブルに出来る「e-TNGA(電動Toyota New Global Architecture)」、つまりトヨタbZ4X/SUBARUソルテラの車台を使う。12月にトヨタは2030年までに30機種のEVを市場に投入するとしているが、そのうちのミニバンの新世代BEVは復活するエスティマなのかも知れない。(編集担当:吉田恒)