気候変動問題「資本主義の負の側面の凝縮」総理

2022年01月20日 06:25

 岸田文雄総理は18日、クリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会を開き「過度の効率性重視による市場の失敗、持続可能性の欠如、富める国と富まざる国の環境格差など、資本主義の負の側面が凝縮しているのが気候変動問題だ」と、認識を示した。

 そのうえで「日本は2030年度に(2013年度二酸化炭素排出量に比べ)46パーセント削減、2050年カーボンニュートラルの目標にコミットしている。国際的な電力グリッドを持たず、原発事故による原発不信が強く残り、再生可能エネルギーも、山多く、海深い島国のため、コスト高にならざるを得ない。これが日本経済の弱みになっている。この弱点を何としても克服していかなければならない」と強調した。

 岸田総理は「2050年カーボンニュートラル実現には世界全体で年間1兆ドルの投資を、2030年までに4兆ドルに増やすことが必要との試算がある。我が国においても、官民が炭素中立型の経済社会に向けた変革の全体像を共有し、この分野への投資を早急に少なくとも倍増させ、新しい時代の成長を生み出すエンジンとしていく」と決意を示した。

 そして「この変革を成し遂げるためにはエネルギー供給構造の変革だけでなく、産業構造、国民の暮らし、地域の在り方全般にわたる取り組みが必要です。クリーンエネルギー戦略においては、どのような分野で、いつまでに、どういう仕掛けで、どれくらいの投資を引き出すのか。経済社会変革の道筋の全体像をお示ししたい」と全体像を示していく考えを述べた。

 岸田総理は経産大臣、環境大臣に「送配電インフラ、蓄電池、再エネ始め水素・アンモニアなど非炭素電源、安定、低廉かつクリーンなエネルギー供給の在り方、需要側の産業構造転換や労働力の円滑な移動、地域における脱炭素化、ライフスタイルの転換、資金調達の在り方、カーボンプライシング、多くの論点に方向性を見いだしてください」と指示。

 そのうえで「地域社会が主体的に進める脱炭素の取り組みの後押し、国民一人一人の理解促進、暮らしの変革については環境大臣に具体策の検討を行い、その結果を新しい資本主義実現会議へ報告するよう」指示した。(編集担当:森高龍二)