コロナ禍前より働き方の改革が推し進められてきたが、コロナ禍で感染症対策の必要性から様々な働き方の変容が加速した。その多くは非常時における一時的なものではなく、本来推進されるべきものがコロナを契機に加速され、企業や消費者の行動変容、市場の構造変化に合わせた不可逆的なものとなっている。働き方の変容はまた、人々の意識も大きく変えているようだ。これまでは暗黙のうちに常識とされていた様々な慣習がコロナ禍2年で常識では無くなった。決裁におけるハンコが電子署名に変わり、人々が集まり行われるはずの会議や商談もオンラインへと移行した。組織のメンバーシップ意識を高め、人間関係を良好に保ちモチベーションを維持するために重要とされていた職場の「飲み会」に関しても大きな意識の変化が起こっているようだ。
Webマーケティング業の株式会社ジーン(東京都渋谷区)が2月9日に「コロナ禍での働き方に関するアンケート調査」(調査時期:昨年12月、対象:20~75歳までの社会人1010名)の結果レポートを公表しているが、これによれば「リモートワークを希望する者」の割合は81.6%となっている。日数別に内訳を見ると「週1~2日」が34.5%、「週3~4日」は34.0%、「フルリモート」は13.1%となっている。「フルリモート」は13.1%と少ないものの、コロナ前では制度がありながらも利用実績は数パーセントであったことを考えれば、コロナ禍で実際にリモートワークを経験したことで人々の意識が大きく変容したことが分かる。
「無くても良いと思う『飲みニケーション』」について聞いた結果では、「全て無くて良い」と答えた者が42.4%で最多となっており、職場での飲み会を必要とは思っていない者が増加しているようだ。年代別には20・30代での割合が高く、レポートは「中年世代と飲み会が負担でしかないと感じている若者世代との間に大きなギャップが存在している」と指摘している。また、「同期との飲みニケーション」を許容する者は少なくない一方で、「取引先との飲みニケーション」は不要と答えた者は20.2%、「上司と」は16.9%と比較的多くなっている。「全て」、「取引先と」、「上司と」を合計すると79.5%となり、約8割が職場での飲み会を不要と感じているようだ。レポートは「飲みニケーションや社員旅行などの昭和的なマネージメント・コミュニケーション手法に異を唱える人がとても増えている」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)