2019年末に中国武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大で、日本の観光産業は20年初頭からインバウンド需要を消失することになる。さらに、国内で繰り返される感染流行の波で国内移動も制限され、旅客運輸も含む観光関連業は国内旅行の需要も持続的に失うという大打撃を受ける。政府はこれに対してGOTO政策を実施するが周期的な感染の流行で中断を余儀なくされてきた。しかし、パンデミック発生から2年が経過し、状況は徐々に改善されつつある。ワクチン接種の普及や治療薬の開発、医療体制の整備、医療スタッフのスキル向上、これらの状況変化を受け既に海外ではウイズコロナでの経済活動の再開が推し進められている。さらにコロナ禍2年が経過し、過剰債務など企業体力も限界に達しつつある。観光関連業界では正常化に向けた準備が活発化しており、インバウンド、GOTOの早期再開を望む声が多くなっているようだ。
3月8日、インバウンドニュースサイト「訪日ラボ」を運営する株式会社movが「国内観光およびその先のインバウンド事業についての意識調査」(調査期間:1月下旬~2月上旬、対象:自社サービス利用者131名)の集計レポートを公表している。この中で、「コロナ禍前と比較しインバウンド誘致方針はどう変化したか」と聞いた結果では、「積極的」との回答が48.1%、「やや積極的」が19.8%で、合計約7割の業者がコロナ前より「積極的」に変わったようだ。その理由については、「インバウンド回復の大きさに期待」が37.1%で最も多く、次いで「国内観光のみでは先細るため」が29.3%と続き、人口減少や海外との競合の中、インバウンドへの期待は大きいようだ。
一方、「GOTO再開の希望時期」については、「今すぐ」が18.2%、「春の行楽シーズン~ゴールデンウィーク」が54.5%で両者を合計すると72.7%と7割超えの者がゴールデンウィークまでにはGOTO再開を望んでいる。22年内の希望を合計すると95.5%となり、ほとんどの業者が年内の正常化を望んでいるようだ。
GOTO再開や入国制限解除など、観光正常化に向け「準備はできているか」という質問に対しては、「準備している」との回答は68.7%と7割近くにまで達しており、前年21年8月調査の33.9%から倍増している。世界的な経済活動再開や経営体力限界の双方の視点から早期正常化に向け準備が進められているようだ。(編集担当:久保田雄城)