4月から中小企業に対してもパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)の防止措置が義務付けられた。法自体に罰則規定はないというものの必要な対策を怠った場合、民事上の賠償責任を負わされる可能性がある。2016年の厚生労働省の調査では、実際にパワハラに該当するケースが確認されたケースは36.3%と3社に1社を超えており、現実にパワハラが行われているケースは想像以上に多いようだ。こうした背景から20年6月に改正法が施行され、本年4月から中小企業も義務化となった。
IT企業のピー・シー・エーが中小企業(従業員数100~500名)の人事担当者308名を対象として2月に実施した「パワハラ防止施策に関する実態調査」の結果を4月7日に公表している。これによれば、「対応策を実施している」企業は52.0%、「実施はしていないが、具体的な施策を予定している」が14.9%、合わせて66.9%と3社に2社以上が2月時点で対応を実施・予定している。一方で、「実施はしていないが検討中」は14.3%、「わからない」18.8%となっており、実施・予定・検討の合計は81.2%と8割超になる。
具体的内容は「社内相談窓口の設置」84.4%が最多、「社内体制・就業規則の整備」が67.5%と続いている。「防止策の効果を実感しているか」という質問には、「非常に感じる」が24.4%、「やや感じる」は47.5%で、合計71.9%が効果を感じているようだ。しかし、一方で「あまり感じない」25.6%、「全く感じない」2.5%と合計3割近くが効果を感じていないようだ。
実施企業に課題を複数回答で聞いた結果では、「適切なアドバイスが難しい」が36.9%、「同じ会社の従業員への相談にハードルがある」36.2%が3割超で多くなっている。予定・検討企業にも同様に聞いた結果は、「従業員からの声の吸い上げ」45.6%、「ハラスメントに関する教育」45.6%、「対応に必要な人材やノウハウがない」38.9%、「適切なアドバイス」35.6%などが上位に来ており、現状の把握やアドバイス・教育方法のノウハウが十分でないと感じている担当者が多いようだ。外部の専門家に依頼することに興味のある担当者は8割を超えているものの具体的に検討している企業は少ないようだ。「今後は、外部の専門家に相談を考える人事担当者が増えてくるのではないか」とレポートでは見込んでいる。(編集担当:久保田雄城)