日本社会は酒席文化だと言われ続けてきた。特に会社などの職場では上司や同僚、取引先と公式・非公式に酒席を設けることが多い。酒席が設けられる理由の第一は上司や同僚、取引先の人などの関係者と親睦を深めることとされるが、またその酒席で仕事に関連する重要な情報がやり取りされるケースも多い。
この酒席文化には長い歴史があるが、最近では若者の飲み会離れなどとも言われ、否定的に捉えられる場合も多い。特に働き方改革と関連して飲み会が否定的に語られるケースも増えてきた。否定的な部分が語られるようになった要因の一つとしては飲み会が仕事の一部と捉える人が多いからだ。別の見方をすれば本来は飲み会に出席したくないけれども仕事の一部だから仕方なく出席している人が多いということになる。
しかも、飲み会はパワハラの温床にもなると言われる。飲み会への参加の強要が既にパワハラに当たるが、「腹を割れ」などと他人のプライバシーや内面に踏み込むことが正しいとされることが多く、グローバルスタンダードから言えば、これは明らかな人権侵害だ。
リサーチ業のNEXERがこの5月に自社の運営するサイトに登録する会社員1213人を対象にインターネット上で「飲み会についてのアンケート」を実施し、5日にその集計結果を公表した。
「職場の人との飲み会は好きか」という質問に対しては、「苦手な人と行く場合も含めて飲み会は好き」と無条件で飲み会が好きだと回答した者の割合は14.4%であった。最も多かったのが「仲の良い人との飲み会は好きだが、苦手な人との飲み会は好きではない」の59.5%で、「仲の良い人と行く場合も含めて飲み会は嫌い」は26.1%だった。4人に1人は飲み会自体が嫌いなようだが6割は「飲み会離れ」というより「嫌いな人離れ」といった感じだ。
「飲み会が嫌い」と答えた者に「職場の飲み会に誘われなかったとき、どう思うか」という質問に対しては、「誘われなくて良かった」が93.4%と大多数を占め、「誘われなくて寂しい」は6.6%に過ぎなかった。飲み会が嫌いな者に飲み会への参加を執拗に促すことはパワハラになる危険性が大きいと言えよう。
グローバル化が進み多様な価値観が共存するようになってきている。日本の伝統的な文化の強制がパワハラなどの人権侵害と捉えられるリスクもある。危機管理の観点からも飲み会に関しても明確なマニュアル化したルール作りが必要なのかも知れない。(編集担当:久保田雄城)