バリバリ働いてバリバリ出世して定年まで勤め上げたい。今の時代に心からそう思っている人は果たしてどれだけいるだろうか。
2019年5月からはいよいよ令和の年となった。改元を目前に控えていた19年3月1日、JTBコミュニケーションデザインでは平成の課長調査を6日間かけて開始した。調査の対象となったのは課長職に就いている1,000人だ。中間管理職の人にとって平成とはどういう時代であったのかを尋ねた結果、働くという観点の中で辛い現実が見えてきた。
平成の課長たちが感じている印象として、自分自身の立場を振り返ったときに最も多く挙がった答えはストレスの多さである。この解答が46.8%となり、次に多かった37.1%は上司と部下の板挟みになるとの回答だった。これに付随してとも捉えられるが、34.0%の人は課長としてこれでいいのか不安になると答えている。
かつて自分が新人だった頃の課長には権威があった。現在の自分と昔の課長とをこのように比較して、過去の上司たちの姿よりも自分は見劣りしているように感じてしまう人も多いようだ。近頃はすぐに辞める新入社員の問題も深刻化しており、部下を育てるために指導しているつもりがパワハラとして捉えられてしまうリスクまで存在している。部下に過分な気を遣いながら、それと同時に古い時代を生きてきた上司からの難題にも応え、板挟みになってしまう現状を苦慮しているのが今の課長の傾向かもしれない。
人は誰でもストレスによる圧がかかりすぎるとどこかでやる気まで失くしてしまう。平成時代の中でやる気が失われた時期として最も多かった回答は、どの年代でも最近の5年間であった。その理由として最多だったのは職場での人間関係である。仕事に励めばそれだけ業績が上がっていった時代とは違い、今は仕事にいくら精を出しても結果が付いてこないケースも少なくはない。感覚的な景気の低迷によって社内の団結力まで落ちてしまう事もあるのだろう。たとえ中間管理職の課長自身に上昇志向があったとしても、社内全体を見渡す立場としてネガティブな印象を持ってしまうのは仕方のない事かもしれない。(編集担当:久保田雄城)