今年のゴールデンウィークは3年ぶりに緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの行動規制が出ていなかったこともあり、携帯電話の位置情報などから推計したデータによると、全国の観光地では人出が去年に比べて大幅に増加したという。新型コロナウイルス感染拡大の状況はまだまだ予断を許さない状況ではあるものの、天候にも恵まれ、久しぶりに連休を満喫したという人も多いのではないだろうか。
そうなると益々待ち遠しくなるのが、アフターコロナだ。これまでは、いくらGoToトラベルキャンペーンなどのお得な制度が導入されても、旅行はもちろん、帰省することさえも気が引けた。感染拡大が収束すれば、我慢した分も、思いっきり旅行を楽しみたい。
では、アフターコロナに国内旅行をするとすれば、どこがおすすめだろうか。インターネットメディア等で多数行われている同様のアンケート結果をみてみると、北海道と沖縄が人気を二分しているようだ。とくに北海道は、絶品グルメが季節に合わせて味わえる上、雄大な自然やその中でのアクティビティも楽しめる。
そこで注目されているのが「道の駅」。「道の駅」は24時間無料で利用できる駐車場があり、車やバイクなどで行く旅行の際にはトイレなどの休憩施設として便利に利用できるだけでなく、道路情報や観光情報、緊急医療情報など、地域の情報を得ることもできる。また、地元の名産品やグルメコーナーがあったり、文化教養施設、観光レクリエーション施設などを備えているところもある。現在、全国に1194の道の駅があり、それぞれに特色があるため「道の駅」巡りを目的にした旅行者も増えているという。これまでスポットが当たらなかったような地域でも、「道の駅」に訪れてみると、意外な発見をすることも多く、面白い。
そんな「道の駅」人気に、自治体や企業も活発に動き始めている。中でも積極的なのが、住宅メーカー大手の積水ハウスだ。同社は日本を代表する住宅メーカーだが、「道の駅」に建設しているのは戸建てやマンションではなく、旅の拠点となるホテル。同社は世界的なホテルチェーン、マリオット・インターナショナルと共同で、2020年から地方創生事業「Trip Base(トリップベース)道の駅プロジェクト」を展開しているのだ。20年10月の開業を皮切りに、26道府県の自治体と45社のパートナー企業とも事業連携をとりながら、これまで6府県15か所で、道の駅に併設する「地域の知られざる魅力を渡り歩く旅の拠点となるホテル」を誕生させてきた。2022年春からはセカンドステージとして、北海道、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県、佐賀県、熊本県、鹿児島県の8道県14か所で1184室のホテルを順次開業する計画も発表している。
そして、5月26日には、7道府県16、17か所目となり、北海道初となる「フェアフィールド・バイ・マリオット・北海道えにわ」と「フェアフィールド・バイ・マリオット・北海道長沼マオイの丘公園」が2軒同時に開業した。道内宿泊客の約 6 割が札幌市を中心にアクセスの良い道央圏を利用していることから、新たな宿泊地の提案として恵庭市・長沼町が選ばれたという。積水ハウスの取締役専務執行役員 石井徹氏は、オープニングセレモニーで「今後も多くの自治体や企業と連携して、北海道、恵庭市、長沼町の知られざる魅力を発信していきます」と語った。この道の駅・ホテルを拠点に旅をすれば、もう何度か北海道を訪れたことがあるという人でも、北海道の新たな魅力を発見したり、新しい旅のスタイルが見つかるかもしれない。
今すぐすべてがコロナ以前に戻るようなことはないだろう。でも、少しずつではあるけれど、着実に収束に向かってきている感はある。観光客が集中するような有名な観光地やレジャー施設に出かけるのは、未だ抵抗を感じるという人も、「道の駅」を巡る旅ならば、今でも充分楽しめるのではないだろうか。日本にはまだまだ魅力的な発見が眠っているはずだ。(編集担当:藤原伊織)