景況、製造業と小売サービス業で二極化。製造業、供給網の不透明感で減速続く

2022年07月21日 07:37

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日本総研が「日本経済展望.7月」。景況感は製造業で悪化。非製造業の業況判断は+13と改善

 先進国を中心に経済活動は正常化し、これに伴い需給ミスマッチなどの供給網の混乱もあり、世界的にインフレ傾向となっている。日本においても春以降、経済活動の正常化が推し進められており、人流も増加傾向で個人消費など内需も堅調に推移している。外需については、供給網の混乱やウクライナ情勢、中国での都市封鎖など一部に下押し要因が見られるものの、世界的なインフレ傾向の中、今のところ順調に推移しているようだが、日銀短観6月では2四半期連続の悪化となっており先行きに不透明感も見られる。一方、非製造業については値上げラッシュの中、消費マインドの冷え込みが懸念されているというものの、消費者物価指数も今のところ2%台にとどまっており、欧米のような8%超えのインフレとはなっておらず急激な腰折れの兆しは今のところ見られない。

 7月5日に日本総研(日本総合研究所)が定例の「日本経済展望(7月分)」を発表しているが、概況については「個人消費は持ち直し、生産・輸出は下振れ」となっている。「企業」の動向では中国の都市封鎖の影響による供給網の停滞で、一部で大幅な減産となっている一方で、「外需」の動向は、やはり中国向けが下振れとなったものの欧米が堅調で、景気動向指数は一致係数が持ち直している。しかし、先行指数は横ばいとなっており、不透明感も漂っているようだ。企業物価は9%超えのようだが消費者物価は2%台で、今のところ大きな影響はないが、今後は価格転嫁が進むにつれて負の影響が出てくるものと見込まれる。

 6月の日銀短観では、大企業の製造業の業況判断DIはプラス9と、2四半期連続の悪化となっており、「資源価格の上昇に伴う原材料コストの増加に加え、中国の都市封鎖を受けたサプライチェーンの停滞などが景況感の下押しに作用」していると分析している。一方、非製造業の業況判断DIはプラス13と、2四半期ぶりの改善となっており、業種別にはコロナの影響が直撃した対個人サービスがプラスに反転し、宿泊・飲食サービスもマイナス幅が大幅に縮小している。こうした状況からレポートでは「企業の景況感は製造業と非製造業で二極化」しているとまとめている。

 5月の実質輸出は2カ月ぶりの増加となっており、都市封鎖が行われた中国向けが低迷したものの、欧米向けが堅調に推移している。しかし同時に「サプライチェーン停滞の影響を巡る不透明感は強く、計画が下方修正されるリスクも」存在するとレポートは指摘している。(編集担当:久保田雄城)