【コラム】「消費税」「終身雇用」も争点に、答えは投票で

2022年06月26日 10:10

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第26回参院選挙が22日公示された。7月10日の投開票日に向け、各党、候補が舌戦を繰り広げる

 第26回参院選挙が22日公示された。7月10日の投開票日に向け、各党、候補が舌戦を繰り広げる。この選挙後、衆院の解散がなければ最大3年間、政府に意思表示する機会はない。

 物価高への対応をはじめ、自民党が求める「敵基地攻撃能力=反撃能力の保有」、「防衛費の大幅増」「憲法改正」など、日本の安全保障政策・日米の「盾と矛」の役割にも大きな影響を与えることになりそうだ。

 今回は物価高に対する「暮らし応援策」で焦点のひとつ「消費税」と日本の雇用制度ともいえる「終身雇用」への各党の対応を見た。

 「消費税」を巡っては、自民・公明は「社会保障の安定財源」として見直す考えがないことを明確にしている。一方、立憲・維新・共産・社民・れいわ・国民・N党は廃止や時限を区切って、見直し幅に違いはあるものの、見直すとしている。

 立憲は「5%への時限的な引き下げ」。維新は税率示さず「減税」。国民は「時限的に5%に引き下げ」。共産も「5%に緊急減税」。れいわは「消費税廃止」。社民党は「消費税率3年間『ゼロ』」。N党は「消費税引き下げ」。

 消費税は「社会保障の安定財源で見直しできない」と断じなければならないものなのか。そもそも今年度の社会保障予算でも45兆3000億円のうち、消費税で賄っているのは27兆5000億円で、不足分の17兆8000億円は「国債を含む一般財源で賄っている」(財務省)。時限を区切って5%に引き下げ、減税に伴う不足分を国債で賄っても国民は政府を批判したりしないだろう。

 今月19日のNHK日曜討論で、れいわ新選組の大石あきこ政審会長が「参議院調査情報担当室に党として5月に依頼したシミュレーション結果では、消費税廃止で景気は回復、給料が上がる。5年後には年収約30万円アップ、10年後には約60万円アップという結果が出ている」とし「消費税廃止や減税、すぐにやれば良いではないか」と与党側にアピールした。
 
 反論したのが自民党の高市早苗政調会長。「消費税法第1条を読んでいただきたい。消費税の使途は年金、医療、介護など社会保障に限定されている。地方の消費税も地方税法により社会保障にしか使えないことになっている。社会保障は国民が広く受益するもの。あらゆる世代が広く公平に負担するもの。持続的で安定的な財源として残しておくべき」とした。

 消費税法第1条2項は「消費税の収入については地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」(2014年4月~)と規定している。

 ただ、お金に色がついているわけではない。消費税導入の34年間に計450兆円以上が徴収されたが、法人税・法人事業税・法人住民税3税の減収はこの間に計330兆円に上った。国の税収全体から見れば、実態が法人税減税分を消費税で『穴埋め』していると批判されても仕方ないだろう。(弊社既報済み)。

 日刊ゲンダイは消費税を引き上げの際、当時の安倍晋三総理が「8%への引上げ時の反省の上に、経済運営に万全を期してまいります。増税分の5分の4を借金返しに充てていた消費税の使い道を見直し、2兆円規模を教育無償化などに振り向け、子育て世代に還元いたします」(2019年1月)と発言していたことを報じた。

 財務省は「増税分の5分の4を借金返しに充てていた」という安倍氏の表現は「消費税収での不足分を国債に依存していたが、改めて消費税で充てるということを分かり易く『借金返し』と言ったと思われる」と説明、消費税が社会保障関係費以外に使われたことはない、と説明する。ただ消費税は逆進性の高い税。減税が「庶民の暮らし応援」に公平に直結し、景気回復にもつながると言えるのではないか。読者はどう判断されるだろう。

 なお「終身雇用」に関しては自民・維新・国民・N党が「見直すべき」。公明・立憲・維新・共産・れいわ・社民は「続けるべき」だった。どちらを支持するか。答えは是非、投票で行ってほしい。(編集担当:森高龍二)