今、海外では空前の「日本酒ブーム」が来ている。全国約1400の蔵元が所属する日本酒造組合中央会の発表によると、2021年度の日本酒輸出実績は401.78 億円に達し、金額・数量共に過去最高を記録。12年連続で前年を上回っているという。
最も輸出金額の多い国は中国、輸出量の多い国はアメリカだが、2021年の伸び率で見ると、最も高い国はフランスで、ワインの強いヨーロッパでも日本酒が浸透してきていることがわかる。
中でも人気を集めているのが、高価格帯のプレミアムな日本酒だ。財務省の貿易統計によると、2021年度の1L あたりの日本酒の輸出価格は、2011年と比較して、およそ10年間で2倍上昇している。業界全体でのデジタル化が進んでECサイトが発展したことや、コロナ禍で海外でも「宅飲み」などが増えたこともあるが、日本酒の冷蔵輸送が普及し、大吟醸や生酒などのデリケートな日本酒も品質を保持された状態で流通可能になったことが大きく影響していると思われる。また、 ワインのように冷酒をグラスで飲むスタイルもあるということが海外の人々に認知されてきており、さまざまな場面で日本酒を楽しむ人が増えているようだ。 日本食も相変わらずの人気ぶりで、2021年度の農林水産物・食品の輸出額は1兆円を超えている。美味しい日本食のパートナーとしても、美味しい日本酒が好まれるというわけだ。加えて、日本食以外の食事と合わせることも増えてきている。
海外の人たちに人気の日本食材は色々あるが、その中でも近年、急速に輸出量を伸ばしているのが、国内でも人気の高い高級ブランド肉「神戸ビーフ」だ。兵庫県畜産課の発表によると、2021年度の「神戸ビーフ」の輸出量は前年度比64%増となる73トンで過去最高を記録。これまでは30~40トンで推移していたというから驚きだ。神戸ビーフは以前から人気はあったものの、やはり高級ブランド肉だけあって価格も相当なものだ。ところが、新型コロナウイルス禍の影響で消費が低迷して価格が下落したことや、昨今の円安なども追い風となり、値頃感が生まれた。この状況をきっかけに海外で日本酒が浸透すれば 、需要拡大はさらに期待できそうだ。
そんな中、人気の日本酒と神戸ビーフがタッグを組むというニュースが話題になっている。神戸の老舗酒蔵である白鶴酒造株式会社が「神戸ビーフ」に合う専用の日本酒「白鶴 純米大吟醸 弐久(にく)~Sake for KOBE BEEF~ 720ml」を開発。海外の「『神戸ビーフ』指定登録店」限定で提供していくことを発表したのだ。販売に先立って、11月17日には米国ロサンゼルスで行われた「和牛マスター輸出拡大コンソーシアム」イベントにて提供され、参加者たちから好評を得た。これを皮切りに、2023年1月~2月に開催されるフランスやオランダでの「神戸ビーフ」のプロモーションでも提供していくという。
「神戸ビーフ」向けに特化した、海外の「『神戸ビーフ』指定登録店」でしか飲めない希少な日本酒。どんなにうまい日本酒か、一度味わってみたいものだ。(編集担当:藤原伊織)