23年度もIT投資増の見込み。背景にDX効果の実感。~野村総研

2022年12月06日 07:51

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野村総研が「IT活用実態調査(2022年)」。2022年度のIT投資増額企業は52.9%で前年比増。23年度も49.0%と引き続き堅調の模様

 2023年に向け世界的な景気後退が懸念されているが、日本企業のIT投資は23年度も引き続き堅調に推移する見込みだ。背景には、コロナ禍で加速したDXへの取り組みで、財務上・その他の定量的成果の実感を得ている企業が増えていることがある。野村総研(野村総合研究所)の調査によると、23年度もIT投資を増加させると回答した企業が、昨年調査に引き続き約半数になっており、23年度もIT投資意欲は旺盛なようだ。IT人材の不足は未だ深刻であるものの、DXへの取り組み年数が長い企業ほど成果を実感している傾向がみられ、中長期の視点からIT投資を行う企業が増加している。

 11月29日、野村総研が「IT活用実態調査(2022年)」の結果レポートを公表している(調査期間:9月、対象:日本の大手企業のCIOやIT担当役職者、回答数:466件)。これによれば、22年度に自社のIT投資(支出額ベース)が前年度より「増加した」と回答した企業は52.9%、前年度調査より7.7ポイント増加した。23年度についても今年度より「増加」と予測した企業が49.0%と半数に達し、23年度も引き続きIT投資は堅調に推移する見込みだ。

 DX推進でどのような効果が得られたかを複数回答で聞いた結果では、「業務プロセスの改善、生産性向上」81.5%と「業務に関わる人数や労働時間の削減」77.4%が飛び抜けて多くなっている。一方、「新規事業や新サービスの創出」は28.8%、「SDGs、地域活性化などの社会課題解決への貢献」17.1%と低くなっており、レポートは「事業や社会を変革していく観点での価値創出は、各企業の今後の取り組みに委ねられている」と指摘している。

 課題については、やはり「人材の不足」が80.5%に達しているが、課題解消のために「人材のスキル向上や専門人材の採用」の実施は48.2%にとどまっており、具体的な取り組みは未だ途上にあるようだ。

 財務上その他の定量的な成果を獲得している企業の割合を見ると、「顧客に対する活動のデジタル化」で、取り組み期間「3年以上5年未満」の企業が56.7%、「5年以上」では69.2%、「業務プロセスのデジタル化」では、取り組み期間「3年以上5年未満」で63.0%、「5年以上」で82.7%と、ほとんどの領域で取り組み年数が長い企業ほど高い成果を獲得している。
 
 レポートは「投資を意味のある成果につなげるためには、中長期の視点を持って取り組みを進める必要がある」「特に、事業やビジネスモデルの変革については、腰を据えた取り組みが求められる」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)