今春に核融合実用化に向けた国家戦略策定と総理

2023年02月10日 07:32

 岸田文雄総理は8日開いた総合科学技術・イノベーション会議で「6月をめどに今後の政策の羅針盤となる『統合イノベーション戦略2023』を策定する。高市早苗科学技術政策担当大臣のもと、政府一丸となって戦略の具体化を進めるよう」指示した。また総理は核融合の実用化に向けた国家戦略を今春中に策定するとした。

 岸田総理は公的研究機関や資金配分機関について組織横断的な業務の一体化、共同研究の活性化、人材の流動性促進のための方策を2023年度内に具体化する、とした。

 この日の会議で岸田総理は今後の検討課題として3点をあげた。以下はその内容。(1)先端科学技術に関する国家間競争への対応。年度内に国産初の量子コンピュータが稼働する。AI(人工知能)予測技術との連携など量子技術の産業化・実用化に向けた実行計画をこの春まとめる。核融合の実用化に向けた国家戦略を今春中に策定する。食料安定確保を図るべく、農業・食料分野のイノベーションに向けた方策を2023年度内に具体化する。

 (2)知の基盤の強化と人材育成を図る。世界と伍する国際卓越研究大学に加え、地域の知の基盤となる地域中核・特色ある研究大学を創出するべく、自らの強みや特色、ミッションに応じた戦略を描く研究大学への支援をこの春から開始する。女性や若手研究者の更なる活躍、文理分断からの脱却などを支援するとともに、日本でのG7開催も機会として、価値観を共有する同志国との協力や国際頭脳循環の形成を進める。

 (3)公的研究機関や資金配分機関の機能強化を図る。気候変動や安全保障を始めとする国家的課題を解決するためには政府の大規模投資も活用しつつ、大学や企業、研究機関の技術や設備・人材などのリソースをつなげ、技術を早期に社会実装していく必要がある、と語った。(編集担当:森高龍二)